楽しくない営業が売れるわけがない
サラリーマンと言っても定年退職を迎えるまでほぼ営業職で食べてきた。
そこにはそんな人生を送った人でないと分からない苦悩や知恵が存在する。
営業職にいる人たちは、ほぼ数字だけでその価値を評価されてきた。
特に近年はあらゆる方向から分析されたデータが数字になって、その人の価値を決めていると言える。
企業自体も数字によって世間で認められるのだから、その中で働く営業の人材も数字で価値を求められるのは仕方ないことだ。
しかし人の価値が数字化されること自体に矛盾を感じだした企業が、今伸びている企業ではないだろうか。
まだそのことに気付かず受注や売り上げが伸びないと孤軍奮闘している企業に限って、グラフで営業の数字管理をしていたりするのだ。
そんなグラフ管理が末端営業の最前線にあれば、そこで働くほとんどの営業社員は楽しいはずはない。
人材をマネージメントする方は「こんな数字で給料もらって何も感じないのか」とか「お前の価値はこんなもんだ」などとグラフを持って見せつけ、精神的に追い込んでいる。
だがそれらのほとんどは売れる方法を教えもせず、戦略もなく改善の見込みは期待できないばかりか、楽しくない人間を作っている。
数字が上がらない人が起こす負の連鎖
仕事が楽しいと感じることができない社員が陥る負の連鎖がある。
・ネガティブな考えを同僚に感染させる。
・会社や上司の悪口を言う。
・自信を喪失し、行動力が落ちる。
・モチベーションを失くし、意義ある日々が送れない。
・想像力が乏しくアイデアが生まれない。
・辞めて離職率を上げ、会社をブラックに導く。
競争心をあおりモチベーションを上げる目的で、今でもオフィスに個人の営業成績を貼り出している企業は多いが、その効果は逆に仕事の楽しさを奪い痛めつける鞭になっていることが多い。
個人数字をグラフにして分かりやすく表示する行為は、数字を追いかけるように仕向ける行為そのものなのだ。
数字は追うと逃げるので楽しくはない。
数字とは後からついてくるから楽しいのであって、苦しみながら追うものではない。
仕事を楽しいと感じる社員が増えることで、企業にとって一番の利益となるのはポジティブな想像力となって返ってくることだろう。
時にはそんな想像力を持った一人の社員が、倒れかけた企業を救ってくれることさえあることを忘れてはならない。
平凡な人は多くの時間を使い、多くの失敗を重ね、その度に進路変更しながらやっとの思いで小さな成功を手にしている。
しかし今はそんな余裕のある企業は少なくなっている。
すぐに結果を求められ、時間にも余裕はなく、失敗は許容されなくなっているから、成功を見るまでに人材という最も大切に育てなければならないリソースを捨てる悪循環を繰り返す。
いきなりヒットを打てる才能を持ち合わせている人など、広い世の中にほんの一握りしかいないのに、そんな人の入社を期待している企業がどれだけ多いのだろうと思ってしまう。
セミナーや講演で教壇に立つ成功者であっても残したのは稼いだお金であったり、出店した店舗数などの数字であって幸せの尺度ではないはずだ。
それでも多くの企業が社員のモチベーションを上げる目的で成功者のセミナーを受講させるが、そんな経験もしたことがない失敗談や成功に至ったプロセスを理解し、共感して次の日から実践できる人は稀だ。
楽しいと思えるセミナーならまだしも、楽しくもない共感できずに唯の自慢話と受け取ってしまうようなセミナーは、逆にモチベーションを下げてしまう可能性にも繋がってしまう。
しかもそのような成功者のプロセスを一番理解しなくてはいけないのが、経営やマネージメントに直接携わっている人でなければならないはずが、そこを素通りしてしまっていることに違和感を感じる。
日々数字を追うのではなく楽しい事を想像して、沸いてきたアイデアを行動に移せば自ずと数字となって返ってくると考えるくらいがいいのではないだろうか。
そしてそんな日々を過ごせるようになると、会社への不満など消え去り満ち足りたサラリーマン生活を過ごせるのではないか。
これからの仕事を考えるとき、先ずは楽しめることを優先し、決して数字に追われるような人生にしてほしくはないと伝えたい。
一番言い聞かせたいのは、長年数字に追われて人生を過ごしてきた私自身だ。
せめて今からの人生を楽しむために数字には追われないようにしようと・・。
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