老後になって楽器演奏に出かける切っ掛け

田舎暮らしなのに毎月セッションできる喜び

定年退職後に若い頃やっていた音楽趣味を再開して家でひとり練習していたがコロナも開けて新しい世界に飛び込むことにした。
そんな老後に音楽をやる持って来いの場所がセッションだ。

セッションに参加した経験談

これは今年になってからセッションに参加して楽器演奏を楽しんでいる私の経験だ。

セッション

セッションとは

セッションとは楽器を演奏する人たちが集まって合奏することだが、ソロ演奏やバンド活動とは違う音楽の楽しみ方のひとつだ。
私の若い頃はバンドを組んで練習会場まで楽器を運び、週に一〜二度練習をして祭りなどに呼ばれては演奏を披露するのが喜びだったのだ。
もちろん練習スタジオのようなものはなく、お借りしている公共の建物に毎回楽器を持ち込んで練習していた。
そんなバンドのように同年代の心安い仲間と合奏の練習をして演奏するスタイルとは違い、セッションは見ず知らずの人たちとぶっつけ本番で演奏しなければならない。

セッション会場

そんなセッション会場が私が住んでいる田舎にもあるとはつい最近まで知らなかった。
私の先入観では少なくとも20万人以上の人口の街に行かないとそんなところはないだろうと決めつけていたのだ。
ところがそんな小さな田舎町にもセッションを主催している場所があったのだ。
私が住む3万人ほどの町にあるセッション会場はスピーカーを企画制作しているクラフト工房だ。
どうも最近は全国にこのようなセッション会場があるようだが、主催しているのは音楽スタジオや楽器屋さん、レストランやバーなど他業種だ。
私は二つの会場に足を運んでいるがひとつは昼セッションで13時から16時まで、もう一ヶ所は夜19時から22時30分までだ。
どちらも今のところは1000円程度の参加費にドリンク代が別途必要だが安価な趣味と言えるだろう。

セッションの内容

セッションはそれぞれの会場によって進行なども違うが、ホストと呼ばれる方のリードで進められるのが一般的なようだ。
つまりホストはレギュラー出演で、来場する人はゲスト出演になる。
ホストが担当する楽器は会場によって違うが、ピアノやベース、ドラム、ギターなどが多いようだ。
ゲストで来場する人に楽器の決まりはないようだ。
私が行っているところも管楽器から弦楽器、尺八から名前も知らないような楽器までさまざまだ。
ゲストはホストに持参した楽譜を渡して演奏に参加するので、練習した曲をお披露目する機会にもなる。
私はドラムなので楽譜は持参せずに他のゲストの曲に合わせて演奏させて頂くようにしているが、たまにホストからやりたい曲を聞かれることもあるのでその時はリクエストしている。
ゲストの中には楽譜を持参せずに会場にあるジャズスタンダードバイブル(黒本)という本を使って演奏する人もいるが、その人たちは中級者以上ということになるだろう。
その場合は曲名だけを言って演奏が始まるが、ジャズのセッションでよくあるテーマの後アドリブを廻してテーマで終わるという演奏をする場合がほとんどだ。

セッションに参加したいが自信がない時

このようなセッション会場は概ね敷居が高いと感じる。
もちろんほとんどの会場では初心者歓迎としており上手く演奏できなくても問題はない。
だが実際には参加者のレベルはそこそこ高く、私の場合は恥をかく覚悟で参加した。
そこでお勧めしたいのが先ずは下見をすることだ。
ほとんどの会場では演奏に参加しなくてもドリンクだけでセッションを見ることもできる。
できればセッションの主催者と話をして毎回行われるセッションの様子や演奏者のレベル、参加に必要ないろんな情報を聞いておくのが賢明だ。
一度だけでなく何度も来て情報収集をして練習の参考にするのも悪くはない。

吹奏楽経験者やアドリブが苦手な人の場合

アドリブが出来なくてもセッションに参加することはできる。
練習している曲の楽譜をホストに渡してテーマだけ参加したい旨を伝えればいい。
アドリブはホストや他のゲストがやってくれ、充分にセッションの楽しさを経験することができるだろう。
吹奏楽などの経験者で楽器を演奏することは出来るのにアドリブには自信がないという人たちには有効だ。
例えばフルートでイパネマの娘を演奏したいと思ったらメロディーとコード譜がある楽譜を用意すればいいということだ。
わざわざピアノ譜やベース譜をを用意する必要はない。
クラリネットやサックスのような移調楽器も同じことだ。

生演奏で歌を歌いたい場合

セッションと言えばジャズという感じは拭えないが、ポピュラーやロックであってもだめだということはないだろう。
ただ実際に参加している人の多くがジャズの演奏をしているというだけのことだ。
楽譜さえあればどんな曲も演奏できるだろうから色んな曲で挑戦するのもいいだろう。
例えばシャンソンやフォークソング、演歌やKポップを歌いにきてもいいと思う。
セッションでルールがあるとすれば同じ日に同じ曲を演奏しないということぐらいだろう。
練習の場ではないということだ。
あくまで本番なのでそれなりの緊張感も必要だ。

楽器演奏のスキルアップにセッションが有効

私が行っている会場のセッションは概ね月一回なので2か所へ行けば月に2回ということになる。
セッションに行って演奏の問題点を見つけ、それを課題にして家での練習を繰り返している訳だ。
自分より上手な人の演奏はとても参考になりモチベーションにもなっている。
家でひとりで練習することが悪いわけではないが、やはり人前で演奏する楽しさを知る場所としてもセッションはありがたい存在だ。

セッションに参加して分かった緊張感

セッションに何度か参加していると顔見知りも増え緊張感は薄れてくるが、最初は知らない人ばかりなので緊張しない人はよほど自信のある人だろう。
楽器演奏者が緊張によって及ぼす身体への影響は少なくない。
緊張の度合いだけ手足が動かず実力を削ぎ落されることになる。
自分がこれほど緊張するとは思ってもいなかったが、その緊張も回数を重ねるとコントロール出来るようになってくる。
コントロールと言っても開き直れるかどうかというだけの話だ。
他の方とも話したが緊張がひどい人は50%も実力が削がれるようだ。
「家では弾けるのにここへ来たらまったく弾けないんですよ」と言う人もいる。

セッションまとめ

何はともあれ定年退職して人脈も薄れ、高齢者と言われる年齢になって共通の趣味を持つ人とのセッションは楽しいものだ。
セッションに来る人の年齢も性別もスキルもさまざまだが、演奏する楽しさを共有できるセッション会場は私にとって貴重な居場所だ。
家ではYouTubeなどの音源を使ってセッションを仮定したような練習もしているが、実際のセッションのような緊張感はないのであくまで練習でしかない。
セッションでは来る人によって変わる空気感も楽しみのひとつだ。
私はドラムなので同じ曲を演奏しても、一緒にやるゲストによってまったく違う緊張感と空気感を味わえる。
もちろん失敗することも多いが仕事ではないので気にしないことにしている。
セッションに参加するようになってまだ半年あまりだが、今では月に2度程度のセッションが唯一の心地いい緊張感の中に身を置く居場所になっている。
趣味で楽器をやっている人は多いはずなのに、半年前までの私のようにひとりで練習している人は多いはずだ。
この記事を読んでセッションに行ってみようと思う切っ掛けになれば幸いだ。

コメント

  1. 松本けんや より:

    定年後からの音楽活動、いいですね。
    私は55ですが、40過ぎから作詞・作曲をして、若者に交じってライブにもタイバンで出ました。アコースティックギターでのフォークです。コロナ禍で休止しましたが、路上も不定期でやってました。
    定年後からでも何年か根を詰めてやればヒトカドのものになる(と信じてます)。
    どれだけ楽しめるかですね。腐す外野もいるでしょうが、そんなのよりも楽しんでいる本人がいちばん輝いているはずですからね。

    • saiga yumezou より:

      コメントありがとうございます。
      同感です。
      毎日家で練習していたら60代でもスキルが上がったのを実感できています。
      楽器を演奏するってこんなに楽しいことだったんだと改めて感じています。