リモートワークがシニアの仕事を変える

継続雇用もリモートワークで夢のような仕事に変わる

リモートワークとは遠隔で仕事をすることだが在宅勤務と少し違うのは、仕事をする場所が自宅でなくてもいいということだ。
日本の夏は暑いので、海外のカラッとした避暑地でもWi-Fi環境さえ整えば仕事によっては可能になる。

リモートワークのメリットとデメリット

リモートワークを採用した企業の一番のメリットは、通勤費やオフィスに関わる固定費を大きく削減できるところだ。
またサラリーマン側の一番のメリットは通勤時間の無駄や満員電車のストレスなどが省けることだ。
お互いにこれほど大きなメリットがあるので、今後急速に普及するのは間違いないと思われる。

しかし安易に取り入れるとデメリットもあるので、問題を回避してからの導入がお勧めだ。
いきなりフルタイムリモートワークを導入するデメリットはコミュニケーション不安やワーク管理だ。
元々仕事のできる人は更に生産性を上げることに繋がるが、スキルもなく一人で解決できないことの多い人には更に生産性を落とす可能性が高い。

導入当初はハイブリッドリモートワークと言われるミーティングや会議のある日は出社して、その他の日を遠隔で働くようにするのがいいだろう。
企業にとっての一番のデメリットが、スキルの高い仕事ができる従業員に退社の切っ掛けを与えてしまうことになりかねないことだ。

特に若くてスキルの高い従業員は「会社がなくても仕事ができる」とか「自分一人でも仕事ができる」と勘違いして会社に対する価値観を変えてしまい、独立に心が動かされてしまう。
会社に行かなくなれば会社との繋がりまでも薄くなってしまうからだ。

リモートワークがシニアに適している訳

その点、長年会社に勤務してきた定年前後のベテラン社員は「自分が仕事を続けられたのは会社の信用があったからだ」と考えるから今更独立など考えない。
そのことは多くの人が定年になっても継続雇用制度を受け入れていることで、既に立証済みだ。

企業にとって高年齢社員にリモートワークを導入できれば、出社している平均年齢も若くなって古い体質からの脱却も容易になり企業も活性化する。
そのうち40歳過ぎればリモートワークといった企業が増えてきても不思議ではない。

現在会社に出勤してデスクに座りパソコンで仕事をしている人のほとんどはリモートワークが可能だと言っていい。
年齢が高く部長といった役職を持っている人は、現場に出ることもなく書類のチェックやマーケティング、マネージメントに関わる仕事がほとんどだろうから会社で仕事をする必要はまったくないだろう。

若い社員から見ても、窓際の一番いい場所にデスクを陣取りうっとうしいだけの話しだ。
経験やスキルの高い高年齢の人も、社員教育などをリモートワークで行うことが可能だ。

リモートワークで出来る仕事

リモートワークで出来る職種は現場を持たずにパソコンで解決できる仕事だ。
リモートワークと言えばプログラマーとかエンジニア、デザイナーやライターといった印象が強いが、教育や管理業務、商品開発などもリモートワーク可能範囲に入れることができる。
もう少し幅を広げれば営業職もリモートワークの可能性を秘めている。

世界のどこにいてもという訳にはいかないが、自宅から直接顧客訪問して帰り道のカフェで報告書を提出するといった働き方もリモートワークに入れることができるだろう。
営業先から一度会社に帰り、報告書を作成し提出してから帰宅することを考えれば、会社に帰る交通費や報告書を作成するための空調や照明、それに費やす時間などの大きな無駄を削減することに繋がる。

日本の夏は蒸し暑いのでスイスで仕事をする

ジュネーブの最高気温は7~8月で25度前後だ。
そのジュネーブから北に30キロほど行けば山と湖に囲まれたニヨンという田舎町がある。
7月の終わりから8月の終わりまでの1か月間をそのニヨンの安宿に宿泊して仕事をすることにした。

朝は15度にもならないので少し寒いが近くのカフェテラスでホットコーヒーを飲みながらノートパソコンで日本のニュースを見て過ごす。
目の前にはキラキラと朝日に輝くレマン湖が広がりアルプスからの風が心地いい。

ここでは朝8時を少し回ったところだが、日本は午後の3時過ぎだ。
一通り日本のニュースに目を通したのでそろそろ出社するとしよう。

ハングアウトにログインして本社のチームに顔を見せる。
ノートパソコンのディスプレーには本社チームの顔ぶれが並んでいるが、気のせいか疲れた顔をした人も目に入る。
WEVカメラに向かって音声チャットするのは控え、敢えて文字チャットで「おはようございます」と入力した。

「おはようございます、そちらの天気はどうですか?」と返してきたのは本社のチームリーダーだ。
WEVカメラを湖の先のモンブランの方に向け「見ての通り快晴ですよ、少し寒いですが」と言うと「羨ましいですね、日本は34度湿度80%ですよ、外に出ようとは思いませんよ」と返事が来た。

朝の挨拶が終わり「今日の資料はいつものフォルダーにまとめてありますからよろしくお願いします」というリーダーのチャットを最後に仕事に取り掛かる。
あと2時間はこのカフェテラスで仕事をする予定だ。
カフェの人もほぼ毎日コーヒーやパスタなどを注文してくれるので、いつも笑顔で接してくれている。

フォルダー内にある営業部から回ってくる見積書や提案書の確認をし、問題点を抽出して訂正案を提出するのが私の主な仕事だ。
特に注意をして確認しているのは営業利益を上げる要素を探し出すことだ。
昨日の書類からは50万円程度利益アップに繋がる訂正案を提出しているが、今週中に結果が返ってくるだろう。

次の土日はフランスのリヨンまでレンタカーで足を延ばす予定だ。
スイスは交通量も少ないので運転はしやすいはずだが、交通ルールには厳格な国なので特に注意が必要だ。

リモートワークで叶う定年後の夢

60歳で定年を迎え継続雇用でリモートワークをしたとすれば、このような夢の生活も可能だという私の妄想だ。
会社からも通勤費や事務所経費の代わりにリモートワーク手当を支給して頂けるので、宿泊費や渡航費に充当することができるだろう。

こんなライフワークが手に入るなら継続雇用も悪くはないし、企業側も経費を削減できて生産性向上に直結するのだから言うことはない。
しかも定年を過ぎたお荷物にしかならない人材の有効活用としては申し分ないだろう。
事寄せてはいるが環境が変われば集中力も上がり実力以上の力を引き出せるやもしれない。
今後リモートワークは、経験もスキルも申し分ないシニアを活かす取って置きの手段になるだろう。

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リモートワークができる最低条件

リモートワークには仕事以外の最低限の知識や素質も必要だ。
言わなくても常識とされるだろうが、パソコンで書類やコミュニケーションの遣り取りをする以上、そのシステムの知識やルールを守る信頼性は必要だ。

会社との信頼性は長年の動向で判断されるだろうが、いくら定年後にリモートワークを希望しても会社からの信頼性に欠けていると判断されれば叶うことはない。

システムの知識はパソコンで仕事をしている人なら問題ないだろうが、今のシニア世代にはパソコンを使わずに人生を渡り歩いてきた人も多く、これから覚えるのは敷居が高いとしか言いようがない。
その他にもセキュリティーの問題やWi-Fi事情なども関係してくる。

リモートワークを特に勧めたい会社

都市部に本社を置くような企業では既にリモートワークを導入していることも聞くようになったが、一番導入を検討してほしいのが地方の中小企業だ。
働き方改革を労働基準の観点から仕方なく受け入れるくらいなら、リモートワークを実践する方が生産性向上に希望を持てると思うのは私だけだろうか。

同時にリモートワークがシニア世代にも夢を与えてくれそうだ。

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