思い込みや先入観が行動を遮る


頭がネガティブ思考に傾いている時は、行動を起こす前から結果を想像して諦めてしまったり、間違った方向へ進む事が往々にしてある。
これから何かを始めようとしている時は、ネガティブな思い込みや先入観を捨てていい結果だけを夢見る方が成功率は高くなる。

営業経験の例
建築営業で工場や店舗を持つ会社などの新規客を求めて飛び込み訪問をしていた時、工場を外から見て、傷んだ屋根や剥がれた外壁の塗装などを見つけては「修繕の見積もりをさせてほしいと」お願いして廻った事がある。
工場や商店、飲食店を何軒廻っても、何度訪問しても結果は出なかった。

工場や飲食店などの外から見える傷んだ屋根や外壁は、必ず修繕しなければならないと思い込んでいた。
逆に外から見てもそのような傷んだ所はまったくなく、駐車場も雑草一つ無いくらい管理されている工場や飲食店は、「どうせお抱えの管理会社が入っているのだろう」と思って受注できる仕事が見えなかった。

とにかく早く営業実績がほしいと思い焦っていたので、屋根や外壁、駐車場などの損傷が激しければ激しい程、受注金額も大きく受注に早く結びつくと考えていたのは私の先入観でしかなかったのだ。
勿論、利益が出ている会社でないと設備投資はしないだろうが、営業チャンスの足掛かりとしては間違っていないと考えていた。

ところがある時、紹介で訪問した店舗を持つ会社で見積もり依頼を受けた時、今までの自分の考えがすべて思い込みだった事を知ることになった。
その改修予定の店舗を見ても損傷個所や汚れなど何一つ見当たらなかったが、そこの責任者からはその店舗の大掛かりな改修と駐車場の舗装工事の見積もりを大至急してほしいと依頼を受けた。
後日見積書を持参してその会社の本社で話しを聞けば、「今期の予想利益が想像以上に上がりそうだから決算までには工事を終えたい」とのことだった。

後にリフォームの新規事業を任された時に、その経験が立証されることになった。
リフォーム集客のためのポスティングや飛び込み営業で、30年前に宅地造成された住宅団地を廻ったとき、どう見ても外壁塗装や屋根修繕を必要とする家よりも、何度もリフォームされていてどこも触るところが見当たらない家の方が返って受注チャンスが多かった。

よく考えてみると30年間一度もリフォームをしたことのない人が、飛び込みで来た営業マンに心が動かされてリフォームを考えることなどあり得ないのだ。
それよりも、何度もリフォームをしている人は次はここをリフォームしたいと既に計画していても不思議ではない。

見た目だけで「早く屋根をリフォームしないと、このままでは近い将来雨が漏るようになる」と思ったのは私の勝手な思い込みであって、そこに住まわれている人にそんな考えは少しもなかったのだ。
もし屋根の気になる人ならもっと早くにリフォームしていたはずなのだ。
落ち着いて冷静な時には正しい判断が出来ても、焦っていたいたり不安な時ほど間違った思い込みや先入観が行動を間違った方向へと推し進めるものだ。

時にはその先入観が行動自体を止めてしまう事もよくある。
「どうせお願いしても断られて嫌な思いをするだけだ」とか「お金を掛けずにこんな事しても成功するはずがない」など、まだしてもいない事に対して勝手な理由を付けて失敗を予測してしまうのだ。

何事も行動せずに結果を出すくらいなら、行動して失敗する方が価値がある。
というような言葉は「思い込みや先入観ほど当てにならない物はない」と言いたいのだろう。
先ずは思い込みや先入観を捨てて行動してみることだ。
案外うまくいくかも知れない。
私のように生まれつき悲観的な考えを優先させる人は、特に意識しないと行動する前から諦めてしまうが、そうならないためには時間を掛けないことだ。
思い立ったらそのことに集中し、最短で行動するのがいいだろう。
時間を掛ければ掛けるほど悲観的な結果を想像してしまうからだ。
かと言ってあまりにも安易に行動を起こすと恥をかくこともあるが、モチベーションが保つ時間内に考えをまとめなければならない。

また自己主張の強い人も思い込みや先入観に惑わされることが多いため注意が必要だ。
特に習い事や研修などの場に於いて、意識してでも思い込みや先入観を捨てて受講しないと、その内容が身に付かないだろう。
セミナーや研修に参加して意義深いものにしたいなら、謙虚な姿勢で受講すべきだ。
謙虚になれないと思うなら最初から参加すべきではないだろう。

時には常識や世間体も思い込みを増長させる原因になっていることもある。
悲観した結果を想像した時、世間体のダメージほど行動にブレーキを掛ける要素は他には見当たらないと言えるほどだ。

私は今も思い込みや先入観と闘いながらこのブログを続けている。