定年退職直後の実感

鳴らなくなった電話

定年退職二か月後(シニアブログ)

退職して2ヶ月が過ぎた。
仕事を辞めて一番変化があったのは携帯電話が鳴らないことだ。
先に辞めた先輩から「仕事辞めたら電話が鳴らなくなった」とは聞いていたが、これ程鳴らないとは予想外だった。

仕事の電話が掛からないのは当然なのだが、友だちからの電話も掛かってこないのだ。
よくよく考えてみると仕事を通しての友だちであって、仕事を辞めたら電話を掛ける要件も無くなったのかも知れない。
それでもたまに私の将来を心配して「どうしてる?将来の計画はできた?」などと電話を頂いたり、寄って頂く方もいらっしゃる。
在職中に先に辞められた先輩の家に寄ったら「よう来てくれたなぁ」と歓迎して下さった気持ちが今になってよくわかる。
在職中は営業という職種もあって嫌でも人に会い、一日の多くの時間を人との会話が占めていたので今の環境の違いに違和感が大きいのだろう。
給料と忙しい毎日を代償に得たのが静かでストレスフリーな環境なのだと思えば文句は言えない。

そんな中で分かってはいたが退職して2ヶ月目で改めて実感できるようになったことは、やはり人には生きる甲斐が必要なのだと言うことだ。
いやそれは「人には」と言うより「男には」と言った方がいいのか、もしくは「私のようにサラリーマン人生を歩んできた人には」と言ったほうがしっくりくるのかも知れない。
とにかく何の目標もなく、することもなくダラダラと過ごすことを、おそらく半年も耐えることはできないであろうことが実感として襲いかかってくる。
なにも私がまじめな人間だからなどとは思ってもいないが、田舎なので外で農耕車の音が聞こえるだけで、家の中に居るただそれだけのことに罪悪感のような気持が芽生えるのだ。
しとしとと雨が降る日はとにかく落ち着いて過ごせることは、同じ境遇の人には共感して頂けると思う。
私の場合はこの機会にやりたいことや、それに対する目標も少しは持っているつもりなので何とか耐えることができると思っているが、50代に入って何も持っていないサラリーマンの人には早く退職後の準備をすることをお勧めしたい。

今になって思うことだが、50歳になってすぐに退職後の準備にかかっても早くはないと感じる。
そのくらい時間の経過は早いのと、退職後の人生を有意義なものにするために自分に出来ることがそんなに簡単には思いつかないだろうと考えるからだ。
会社に行っていた時は自分の意志に関係なく電話の内容に対応しなければならなかったり、こなさなければ溜まっていく仕事の処理に追われる毎日だが、今は鳴らない電話を期待せずに毎日することを探しながら過ごしている。

※定年退職の日

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