定年退職は最後のチャンス


サラリーマンにとって定年退職は人生を変える最後のチャンスと言える。
ずっとサラリーマンで生きてきた人は、その間に一度や二度は会社を辞めたいと思ったことがあるはずだ。
そして「人に使われるのはもういやだ」とも思ったことがあるのではないか。
普通のサラリーマンは決して好きなことをして生きている訳ではないので、会社も行きたくて行っている人は稀だろう。
長い間、自分の心に鞭を打って行った会社に、正々堂々とお別れを告げ、行かなくてもよくなるのが定年退職なのだ。
家長としての責任を果たすために長年続けたサラリーマン人生を、卒業する大義名分もやっとできたと言っていいだろう。

今までの人生は
振り返ってみると、多くの人に気を使い、言いたいことも言えず、したいことも出来ず、自分を隠して生きて来たのではないだろうか。
それらは価値観や考え方のまったく違う人の渦の中で生きるため、知らない間に身に付いた防御能力だったのだろう。
協調性と言えば優れた能力のよう聞こえるが、個性を出さずに我慢をしたり、能力を超えた仕事にも苦しみながら努力を重ね、時を流されてきたのだ。
決められた出勤時間には会社に行き、針のむしろに座るような会議にも平然な顔をして出席し、誰かまわず頭を下げて来たのではないか。
日本人には群れの中に囲まれていると落ち着く特性があると言った人もいるが、サラリーマンでいることに居心地の良さを感じている人も少なくないだろう。
この60年「これ以上の人生はない」と言えるほど楽しくて充実した人生だったと言えるなら、契約社員であれこのまま最後までサラリーマンを続けるのもいいかも知れない。
そうすることで今までと同じように楽しいサラリーマン生活を最低でも5年は続けることができる。

しかしいくら楽しいサラリーマンだとしてもいつかは卒業しなければならない。
最近の報道ではそれが70歳になるような動きも見て取れるが、その頃には、もう今の気力も体力も残っていないだろう。
60歳の今ならまだ何とか、新しい事を始める勇気が持てるのではないかと思うことができる。
この機会を逃すと一生、自分を変えることなどできないだろう。
いや実際は、自分を変えたいのではなく自分の人生を変えたいと思っているのだ。
パッシブ(受動的)な人生からアクティブ(能動的)な人生に変えたいと思う。

今までとは違う人生を送ってみたいと考える者にとって
なぜ60歳が最後のチャンスかと言えば、人生の分岐点とする好条件がそろっていると思えるのだ。
定年退職と言う大義名分で世間体も悪くはなく、家族に対する責任も軽減され、新しい事を始めるための経験や知識にも不足はないからだ。
必要なのは少しの勇気と想像力くらいではないだろうか。

新しい事を始めるといっても、起業して一財産稼いでやろうなどとは考える必要はない。
なぜなら幸せの根源がお金ではなく他にあることが分かっているからだ。
そのため目的はお金ではなく生き方そのものにある。
そんな生き方をするために、時間も忘れて一生懸命取り組めるものを探すことから始まるが、その毎日楽しく取り組めることを見つけるだけでも1年や2年掛かるかも知れないのだ。

このような記事を書くのは、私自身が実践している60歳からの人生設計でモチベーションを維持するためと言うのが正直なところで、60歳前後の方々に、早くサラリーマンから足を洗って最後の意義深い人生を見つけようとお勧めしているのではない。
もう私の場合は退職してしまっているので後には引けない状況の中、このような考え方をポジティブにいつも正当化していないと途中で挫けそうになるからだ。