普段気にもならない建物損害保険の内容だが・・
先日JAから連絡があり建物共済の満期時期が迫っているのでお伺いしたいとのことだった。
そういえば前回この保険の満期で更新してから早10年も過ぎたのかと月日の流れの早さに驚いたが、同時にその時の違和感も思い出していた。
10年前更新した時のぬか喜び
私は建物損害保険を2社に加入しているが、どちらの保険金額も今の家が建つほどのものではない。
もう家は古いので建物の価値はないが、それでも火災や自然災害で壊れた場合は同じ大きさの家に戻そうとするなら相当な額が必要になる。
延べ床面積が70坪近いが、田舎なので二人で暮らすには持て余すほどの広さだ。
10年前もJAから同じように満期の連絡を受けた時、満期時に受け取れる満期共済金があったので期待していたのだ。
JAの保険は掛け捨てではなく積立型保険なので、その積立金が返ってくる仕組みになっている。
しかしその期待がぬか喜びに変わったのは、その満期共済金を更新後の掛け金として事前に支払っておけば更新後の掛け金が割安になるといった理由で、結局受け取ることができなかったからだ。
これではまた今回も受け取ることができないかもしれないと思い、建物損害保険のことを少し調べてから検討することにした。
会社によって異なる保険内容
定年退職した今、一番先に見直すべき支出対象が保険だと思っていたので、既に生命保険などは掛け金の少ない保険商品に切り替えている。
生命保険に比べると建物損害保険の掛け金は少ないのでそんなに気にすることはなかったが、収入が極端に減った今となってはそんな悠長なことも言ってはいられない。
これまではどこの保険もさほど大差はないだろうと勝手に思い込んでいたが、調べてみると掛け金にも大きな差があることが分かった。
私が入っているJAの建物共済の掛け金は他の保険に比べかなり高いようなのだ。
例えば県民共済を見ると比較にならないほど月額掛金が安く設定してあるのには驚かされた。
しかし掛金だけで判断するのはあまりにも安易すぎる。
そこで県民共済のことを少し調べると想像とは少し違っていることが分かってきた。
県民共済という名称から各都道府県の自治体が県民のために何らかの関わりを持って行っている共済事業だと思い込んでいたが、そうではなく全国生活協同組合連合会という非営利協同組合として厚生労働省の認可を受けた団体だった。
共済事業も全国で行っているのかと思えば、沖縄県や高知県など4県では実施していないようだ。
非営利とは言え、依頼もしていないのに毎年送られてくる共済申込書の軽費などを考えれば、この格安掛金の理由が保険内容に隠れているのではないかと考えるのは私が臆病な性分からなのだろう。
知らなかった注目の保険方式
結局全国生協連から送られてきた申込書に付随する小さな字で書かれた保険内容も十分理解することもできず、他の民間会社のHPなどから保険内容の違いを探ることにした。
そこで目についたのが「実損てん補」という言葉だ。
組合系ではなく他の民間保険会社ではこの実損填補方式は前々から当然のように使われているようだが、私のように保険を見直す機会でもない限り自分が加入している保険内容など知る由もないだろう。
この実損てん補とは契約に定められた保険金額を上限に、実際の損害額を保険金として支払って頂けることなのだ。
このように聞くと至極当たり前のように受け取れるが、これまで私が加入していた建物共済は実損てん補ではなかったようだ。
つまりこれまで加入していた建物共済は、災害で被害を受けたとしても実際に受け取れる保険金では元に戻すことができないと言うことだ。
災害によって様々な条件が課されていて、保険業務に携わっているような人でないともしもの被災時にどの程度保証されるのかも分かっていない状態で暮らすことになる。
災害リスクの順位を見定める
自然災害にも多くの種類が存在し、それに伴って損害保険の種類も幅広く設定さえている。
自分の家がどんな災害に弱いのかを見定めておくことも、損害保険の内容に大きく関係してくるのは言うまでもない。
私の住んでいる家は河川からの距離もある程度離れていて、敷地はその堤防よりも高い位置なので、もし河川が氾濫しても水害に遭う可能性は低い。
そして山には近いものの谷からは少し外れているので、土砂災害に見舞われるリスクも低いと考えている。
もちろん火災のリスクも昔に比べ生活環境の変化で低減されている。
一番リスクが高いと考えているのは突風と雷だ。
山間とは言え南西の風を遮る物がなく、これまでの強風でも家が揺れるのを体感できるほどだからだ。
最近の台風でも大阪や千葉県で風による大きな被害を目の当たりにしているが、今正に近付いている台風10号(2020年)もこれまでにないような大型台風で最大瞬間風速70m/sというとてつもない風が吹くとされている。
このような風を直接受けた場合我が家はひとたまりもないだろうが、屋根が大きく破損したとしても修繕費を実損てん補で賄える程度の保険内容を考えることにした。
保険内容が分かれば覚悟も明確になる
そしてこれまでの建物共済満期の手続きも兼ねて、JAの共済担当者に来ていただき説明を受けることにした。
JA共済も他社の保険会社からは遅れをとったものの、今は実損てん補方式を取り入れていると説明を受けた。
その上でこれまで加入していた建物共済の満期共済金を受け取り、新規で実損てん補の共済に加入をすることに決めた。
ただ、実損てん補と言うだけで掛金は高くなるので、保険限度額をこれまでの半額程度まで下げ、契約満了時に受け取れる満期共済金の額も最低限にすることで年払い掛金をこれまでと変わらないところまで近付けることができた。
これで絶対とは言えないがもしもの被災時に自分が納得した保険金を受け取ることができそうだ。
「地震にだけは実損てん補が適用されない」とのことなので、その時は泣いて諦める以外なさそうだ。
これまでのように「保険はお守り」と考え加入しているだけの安心感ではなく、今は保険内容を精査したことで被災時の覚悟が明確になった気がしている。