落ち着かない家の原因を家族のせいにするのは間違いだ

Lukas BieriによるPixabayからの画像

家が落ち着かないと感じた時は部屋の音や色を疑ってみる

家にいる時間が長くなってストレスが増えたと感じている人は、その主な原因が意外なところに存在すると気付いていない場合が多い。

落ち着かない家でのストレスが引き起こす家庭内変化

・以前より声が大きくなった。
・子どもが言うことを聞かなくなった。
・些細な夫婦喧嘩が多くなった。
・夜眠れなくなった。
・寝つきが悪くなった。
・夫婦の会話が噛み合わない。
・なぜか疲れがとれない。
・体調が悪くなった。
・なぜかイライラしている。
・子どもを叱る回数が増えた。
・何に関してもやる気が起きない。
・「もうどうでもいい」と思ってしまう。
・小さな音に敏感になっている。
・テレビのボリュームを以前より上げている。
・とにかく家は落ち着かない。
・夫婦の会話が少なくなった。
・家族に八つ当たりすることが増えた。
・子育てに疲れた。
・赤ちゃんの夜泣きがひどくなった。
・情緒が安定しない。

部屋の吸音が足りないと落ち着かない

おそらく音響の仕事にでも関わっていなければ、部屋の残響音など意識をしたこともないだろう。
まさかそれが原因で落ち着かない家になっていたとしても、ほとんどの人は気付くこともない。

LDK(リビング、ダイニング、キッチンの機能を兼ね備えた部屋)で奥様が洗い物のため水を出した途端、ボリュームを上げなければテレビの声が聴き取れないとか、夫婦の会話が聞き取れずにチグハグするといったことはよくあることだ。

消音機能がないシンクでは尚更だが、蛇口機能をシャワーにして使った時は洗い物をしている人の想像を超えるほど大きな音がしている。
そしてフローリングの床や大きなテラス窓があれば、部屋の反響が更に夫婦の会話を聞き取れなくしていると思われる。

思いつかないところでは、夜と昼で部屋の環境が変わり知らない間にストレスを抱えていたと言うこともあり得るのだ。
例えば窓のカーテンを開けるだけで部屋の吸音が減り、反響が増えて相手の声が聴き取りにくくなっていたと言うこともある。

人は相手の言葉を聞き取れないと自分も大きな声を出すようになる。
大きな声を出した人も大きな声を聞いた人もストレスを感じることになるが、このストレスが落ち着かない原因になっていたりするのだ。

このような部屋の吸音不足が招くストレスの場合は、その原因に気付く人は少ない。
しかしそのことに気が付き改善してみると、嘘のように落ち着く家になったと実感している人もいる。

改善の方法とは、反響が大きいだろうと予測できるところに吸音に効果がありそうな物を置く方法だ。

・フローリングの床にラグマットや毛足の長いカーペットを敷く。
フローリングの床は特に音が反響しやすい場所と言うだけでなく、歩くだけで不必要な生活音を出してしまっている。
歩いた時の直接音や反響音を減らすためにラグマットやカーペットは効果的だ。

・壁の隅に布雑貨を置く。
特に近年の気密性の高い住宅では、部屋の隅に反響音が多く残る性質がある。
「音溜まり」という業界用語があるほど部屋の中心に比べ部屋の隅は音が残るので、隅に置く布雑貨は小さくても効果は大きいだろう。

・天井に布を垂らす。
ベビーベッドを置くなら、その天井には布などを垂らし吸音すると赤ちゃんの鳴き声が反響するのを軽減できる。

・塩ビ製ブラインドをドレープカーテンに変える。
特に厚地でヒダが多いドレープカーテンは吸音性に優れている。
両側へ引き分けるカーテンは窓との干渉率が高く、窓からの光を少なくしてしまうデメリットがあるので、窓の採光率を下げたくない時は窓の幅よりも左右に30㎝程度ずつ大きなカーテンを付けることだ。
勿論大きければ大きいほど吸音率も上がるのは言うまでもない。

インドア生活がもたらすストレス

ブルーライトとは紫外線の次に波長が短く、強いエネルギーを持った可視光線のことだ。
このブルーライトは日中に太陽の光から吸収することで体内時計を動かし、生活のリズムを保っていると言われている。

だがインドア生活によって今、その体内時計が狂い始めているようだ。
原因はスマホやパソコン、テレビなどから出るブルーライトが昼夜を問わず網膜から脳を刺激し、睡眠障害などからストレスコントロールを妨げていると言うことのようだ。

インドア生活がストレスコントロールを妨げるのはブルーライトだけではない。
白基調のクロスが張られた部屋で長時間過ごすと落ち着かないのは、白い色が緊張色だからだ。

病院の壁が白からベージュ系に変わり、白衣をピンクや青などに変えているのは患者の緊張ストレスをなくすためだ。
認知症などの症状が入院することで悪化した事例が増えたことなども、病院の壁から白をなくしている理由だろう。

落ち着かないインドア生活から落ち着いた家に改善するには、ブルーライトをカットしたり壁の色を変える工夫をすることだ。
今ではブルーライトを90%以上カットするスマホ用フィルムやPCメガネなどが商品化されている。
白い壁や天井もクロスの貼り替えをするまでもなく、昼白色や昼光色の照明器具から電球色に換えると壁の色を変える効果がある。

また自分の気に入っているものを部屋の見えるところに置いたり、色が濃い目の雑貨で部屋を飾ることもストレスの軽減に繋がりそうだ。

ストレスの原因を家族のせいにするのは間違っている

このようなストレスの原因が厄介なのは、そのことに気付いたり自覚できないことにある。
「何かイライラして落ち着かない」と感じる原因を、兎角人間は人のせいにしてしまうことの方が一般的だ。

「子どもが言うことを聞かず自分までイライラする」とか「妻の気遣いが足りないからイライラが募る」と言う方がもっともらしいからだ。
そしてそう信じている。

まさかこのイライラの原因が、家の吸音不足であったり壁の色やスマホの見過ぎでブルーライトを浴び過ぎたせいだろうと考えたり信じる人は少ないだろう。

そして外出していた時のように屋外でストレスをコントロールできない状況下では、どうしても家の中にストレスコントロールを求めてしまう。
気付かずに八つ当たりや攻撃的な短い言葉でストレスを解消しようとすると、逆にストレスを増幅させる悪循環に陥ることになりかねない。

家庭内環境を落ち着いて暮らせるように見直すことは、家庭内不和を遠ざける切っ掛けにもなるだろう。