免許証を返納する覚悟が豊かな人生に繋がる

テレビのニュースなどで流れる高齢者の事故は人ごとではない。
被害者はもちろん痛ましいが加害者も悲惨としか言いようがない。
私たちも明日は我が身と思い、車の運転には慎重に慎重を重ねなければならない。
今まで長い年月、車を運転してきたが、さほど大きな事故に遭わなかったのはただただ運が良かっただけなのだ。
特に最近は高齢運転者(70歳以上)が加害者になる悲惨な事故が多く報道されているが、私たちは何歳まで車を運転してもいいのだろう。

今巷で言われている自動車免許の自主返納時期は、高齢運転者とされる70歳が目安となっているそうだが、実際自主返納している人は75歳以上でも5%に満たないようだ。
そして問題なのは年齢が上がるほど、運転に対する自信も上がっている調査結果があることだ。
危険なのは年齢と共に運転能力が下がるという自覚が年齢が上がるほどなくなっていくことだろう。
もちろん個人差はあろうが75歳くらいになると家族が説得してでも免許証を自主返納してもらわないと、町中に凶器が溢れるような状況になるといってもいいだろう。
令和10年過ぎる頃には日本の高齢化率(65歳以上の高齢者が総人口に占める割合)は33%に迫ってくる。
3人に1人が高齢者(65歳以上)になる。

将来多くの認知症患者が町中で車を運転するようになる
今7人に1人が認知症と診断されているが、6年後の2025年には65歳以上の5人に1人にあたる700万人が認知症になると言われている。
それどころか、認知症と診断されていないだけの実際は認知症初期の人はその自覚もなく車を運転しているだろう。

認知症または認知症予備軍のよくある事例
幸い事故には繋がっていないが近年身近でも聞く認知症運転のトラブルが、「車で出掛けたまま帰ってこない」という事例だ。
本人は帰りたくても帰る道が分からないから帰れないのだが、結局40Km以上も離れた地域で保護されたといった内容だ。
このような認知症の人でも普段は話しの受け答えや行動にさほど目立った異常は見られないので、まだ認知症と診断は下されていない場合が多い。

電気自動車を乗り回す高齢運転者
判断能力が低下した75歳以上の運転者が、音もしない電気自動車を乗り回し、たまにブレーキと間違ってアクセルを踏むが、車がおかしいと不満を言っている様子が目に見える。
運悪く死亡事故の加害者になった人は、ブレーキとアクセルを間違った経験者のほんのわずかな人数に過ぎない。

経験と勘で運転している高齢運転者
長年運転してきたのでスピードメーターを見なくてもだいたいわかる。
最近は車の性能も上がり良く走るし良く止まるので安全だと思っている。
たまに高速道路の入口を間違いそうになるが、まだ今のところ間違ったことはない。

周囲の人に歩調を合わせたがる高齢運転者
体調や反射能力など運転能力には個人差があり、一概に自動車運転不適合とレッテルを貼るわけにはいかないが、往々にしてありがちなのが近隣の同世代の人に自分を重ね、「自分より年上のあの人が運転しているのにまだ大丈夫だ」と言っている高齢運転者が多い。

免許返納を親に勧めない地方の事情
親が70歳以上(高齢運転者)になっても免許証の自主返納を勧められない地方の事情もある。
病院やマーケットが半径5Km圏内になく、交通インフラの整っていない地方の高齢運転者に免許証の自主返納を促すということは、同居又は近くに居住する親族の負担が増えることに直結する。
これらの事情から多少危なっかしく思っていても見て見ぬふりをしていることが多いのではないだろうか。

高齢運転者の免許証自主返納の異議
報道で取だたされるからと言って高齢者の運転が全て危険だと決めつけてほしくない。
実際高齢運転者が起こした死亡事故が年代別で一番多いかと言えばそうではない。
高齢運転者は運転歴も長く、年齢を重ねると共に安全に運転する意識が強まっている。
事故を起こすのはあくまで個々の注意力であったり運転能力が影響するのであって、高齢者だからではない。
自己責任で運転できるならすればいいし、運転能力に不安を感じるなら返納すればいいだけのことだ。

高齢運転者の免許証自主返納のメリット
上記のような免許証自主返納の異議は最もな意見だと思う。
しかし誰も事故を起こそうとして起こすのではない。
それは高齢者に限らず年齢は関係ない。
一瞬の不注意と運が災いする不幸と言っていいだろう。
ただ免許証を返納することによって、最低限交通事故の加害者になる不幸というリスクからは回避出来ることだけは間違いないだろう。

幸せな一生から最後に脱落するのが高齢運転者による事故
例えば生まれてから70年、いろんなことはあったが解決できなくもなく幸せな人生だったと自負している人が、高齢になってから解決できないほどの大きなトラブルと言っていいのが高齢運転事故で加害者になってしまうことだ。
事故は一瞬で多くの幸せを奪ってしまうので取り返しがつかない。

60歳過ぎれば近い将来、免許証返納を覚悟する
そう先の話しではない。

それが70歳になるのか75歳なのかは別にして、時期がくれば免許証を返納する覚悟をしておきたい。
その覚悟も60歳からの人生設計で、最後の人生を豊かに送るための手段だと考えたい。