GW思いがけない気分転換になるのでは!

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気分転換できた家族への電話

「美味しいものを食べる」「新しい洋服を買う」「瞑想する」「掃除する」「高いところに登る」「旅に出る」「映画を見る」など気分転換には色々な方法がある。

気分転換とは自分の世界観に刺激を与え気持ちをリフレッシュすることだろうと考えていた。
しかしこの気分転換は何をしてもうまくいくとは限らないようだ。
それに今回は出来ることも限られている。
旅行や映画館へ行くことはできないし、外出を控えるとなると山に登ったり高いビルの上から町を見ることもできない。

元々集中力を保つことに自信がないので瞑想して気分転換などうまくいく気もしない。
毎日どこへも行かず家の中にいるのだから何とか気分を変える手立ても必要だ。
田舎に住んでいる私などはまだましな方だ。
窓からは山や空も見え、揺れる木々流れる雲から風を感じることもできるからだ。

それでも気分がどんより淀んでいるのは、先が見えない行動制限にあるからなのかも知れない。

画期的な気分転換の方法も思いつかないが、取り敢えずコーヒーを入れ窓際のテーブルに置いた。
窓際のテーブルと言っても特別な場所でもなく、デスクトップパソコンを置いているいつも座っている場所だ。
ただいつもはダイニングでコーヒーを飲んでいるので、ここでコーヒーを飲むのが珍しいと言うだけだ。

もうひとついつもと違うのは息抜きのために聴く音楽を変えたことだ。
いつもならYouTubeでコンテンポラリーなジャズなどから音のいいものを探して聴くことが多いが、今日はユーミンを聴くことにした。

普段のように音質を気にすることもなく、一時間はクリックもしなくていいメドレーを選んだ。

趣味のDTM(デスクトップミュージック)用にこだわって買ったモニタースピーカーからは、決してその性能を聴き取れるほどの音が流れているはずもないが、それが余計に当時のユーミンの音楽を再現しているようだ。

当時は歌詞の意味を深く感じ取る訳でもなく、ただただその雰囲気に浸っていただけだったが、今その言葉の意味を聴き取ろうとしても頭に浮かぶのは懐かしさや昔の風景でしかない。

歌詞の意味を理解することもなく2曲目が終わろうとした時、首都圏に住んでいる次男のことが気になったので「今日は休みか?」とライントークに打ち込んだ。

「休みやで~」と返信が来たということは起きている証しだ。
そこでライン電話をしたが繋がらないので諦めてユーミンの世界に戻っていると、しばらくして次男の方からライン電話をしてきたので少しユーミンのボリュームを絞った。

一番気になっていたことを聞いてみた。
私:「まだ電車通勤してるんか?」
次男:「いやテレワークと出勤が半々くらい」
私:「その出勤は電車?」
次男:「社用車」

ひとまず安心した。
数週間前にラインで聞いた時はまだ電車通勤と言っていたからだ。
その時はオフィスの最寄り駅が東京駅なのだから会社は何を考えているんだと言いたいところだったが、親の私が息子の会社に直談判して出しゃばるまでもなく本人が一番気にしているだろうということは聞かなくても伝わってきた。

そして何気ない会話をして電話を切り、ボリュームを戻すと情熱的なベースラインのイントロだけでその曲が「真夏の夜の夢」だと分かった。

ネスレのドルチェグスト(カプセル式コーヒー沸器)でコーヒーを入れ始めてから1時間ほど経っていたが、何やら気分は晴れていた。

気分転換と言うよりは息抜き程度に聴いたユーミンではあったが、これほど期待していなかった効果に恵まれたのはユーミンだけではなく息子との会話にあったのかも知れない。
心のどこかでいつも気になっていたことを少し解消できたことが気分転換に繋がったのだろう。

父と息子の会話は母と息子の会話に比べ不器用さが際立つと言っていいほどなのが不思議だが、それだけに気分転換効果は高かったとも言える。
心配事だけではなく何気ない会話の内容も、お互いの共通の世界観が自然に会話のモチーフになっていたことで心が癒されたようだ。

この連休中に心が淀んでいることに気付き、もし気分転換したいなら試してほしい。
愛する家族、会えない恋人、遠く離れた気になる人などに電話をするだけで気分転換効果は上がりそうだ。