定年退職した人がギャンブル依存に陥るリスクは想像以上に高い!

ギャンブルには無縁だと思っている人ほど陥りやすい!

定年退職をして行き場を失いパチンコにハマる人が増えている。
更には依存症になって辞められなくなり、熟年離婚の原因になっていることも稀ではないようだ。

なぜ定年退職者がパチンコにハマるのか

言うまでもなく定年退職で行き場を失い、やることがなければ「たまにはパチンコにでも行って見よう」と考えるようになるようだ。
最初は暇つぶしと考えパチンコで稼いでやろうなどという気持ちも更々ないが、パチンコの魅力にハマるのにそう長い時間は必要ない。

初めてパチンコをやる人は初回でビギナーズラックを経験することもあれば、数度目の早い時期に「勝」という麻薬のような刺激を脳が記憶することになる。
パチンコに初めて勝った時は時間も潰れてお金も稼げる上に、今までに味わったことのない刺激を手に入れることができたと思えた瞬間だ。
もちろん通常はなかなか勝つことができないから、たまに勝った時の達成感が一段と大きくなる。

それでも自分の甲斐性の範囲内でやっている内は問題も少ないが、慣れてくるとそれまで以上の刺激を求めてレートを上げるようになる。
1円パチンコが4円になり、精々2時間程度だったのが一日中パチンコ屋にいる日が多くなるのだ。

どうも人間の脳というものは、バクチをしている間はポジティブに働きリスクを考える思考を止めてしまうようだ。
どれだけ負けようが次は勝てると思えるのだから不思議としか言いようがない。
おそらくパチンコでは、勝っている時も負けている時も神経伝達物質のドーパミンが大量に分泌されるのだろう。

特に真面目にサラリーマンを勤め上げた人たちには、今まで経験したことのないやる気に満ちた刺激がパチンコに存在していることを知ることになる。

定年退職者と現役のサラリーマンのパチンコをする違いは単純に時間のあるなしだ。
仕事をしている人は時間がないので毎日はパチンコに行くことができないが、定年退職者はパチンコの時間に制限がない。
毎日のように大量のドーパミンによる刺激を受けたとしたなら依存症になるのにそう時間は掛からないだろう。

依存症になるとパチンコをしていない時は理由もなく落ち着かないと感じるようだ。
定年退職してからパチンコ依存症になる人は、過去にパチンコをした経験のない人に多いと言われている。

ギャンブル大国日本で定年退職者が陥る罠

日本ではパチンコを遊戯として位置付けられているため全国各地で営業されているが、海外でパチンコ店を見かけないのは法律で禁止されているからだ。
もちろんギャンブルという側面から考えると、競馬競輪競艇などの公営競技もお金を掛けるとギャンブルであることには変わりない。

言い方を変えればギャンブルが法律によって守られている日本では、全国各地にこのようなギャンブル依存症という疾患の原因になる場所を作らせていると言える。
海外では考えられないほど日本がギャンブル大国になっていることを日本人は自覚できていない。
どこへ行っても法律で認められたギャンブルができる場所が点在しているのは日本だけなのだろう。

日本人の誰もがギャンブル依存症のリスクの高い環境で暮らしていると言えるが、特に趣味も持たずややることのない定年退職者には打って付けの居場所となるので注意が必要だ。
ボートピア(ボートレース場外発券所)に至っては全国に59カ所も存在するが、その約半数が関西と九州にある。

定年退職者がギャンブル依存に陥らないためには、意識してギャンブルのできる場所へは行かないことが賢明だ。

趣味などを持っている人がギャンブル依存症になる可能性は低い

特に今、定年退職を迎えている年代は仕事一筋に生きて来た人が多い。
家族や社会に対する責任を重んじ、人生を振り返っても趣味や遊ぶことに関しては不器用に過ごしてきた人の方が一般的だろう。

しかし定年退職と同時に行き場とやることを失って充実感を感じられずに日々を過ごしている人たちが、最も手っ取り早くその心の隙間を埋めることをできるのがパチンコなどのギャンブルだということだ。

そのリスクから遠ざかる手段として趣味などを持ち居場所とやることを作ることが望ましいが、そうは言っても定年退職してすぐに新しく趣味を見つけるのも簡単ではない。
だがパチンコや競馬などのギャンブル依存から遠ざかるためには、日常的に充実感を伴う趣味を是が非でも見つけたいものだ。
定年退職してからギャンブル依存になった人の多くは、退職するまでギャンブルなどまったく興味のなかった人たちだからだ。
是が非でもと書いたのは既に依存症の兆候のある人も少なくないからだ。

依存症という疾患が怖いのは、一度掛かってしまえば何度後悔しても止めることができないことだ。
パチンコ依存症の人も何度となく後悔し「もう二度と行かない」とか「もう止めた」と言うことを繰り返している。
せめてそうならない前にギャンブルの誘惑を断ち切らなければならないが、それに代わる熱中できる趣味か仕事でもない限り止めることには無理がありそうだ。

ギャンブル依存も早ければ早いほど抜け出せる可能性は高いと言われているが、ギャンブルをやろうと考えたり誘われたりした人は「最初からやらない」のが鉄則だ。

ギャンブル依存症になる人の経緯

・最初は軽い気持ちから始まる
友達に誘われたり暇つぶし程度に行ったパチンコなどが切っ掛けになる。
「たかが暇つぶし」「たかが1円パチンコ」と考えないことだ。
ギャンブル依存症になって苦しんでいる人の切っ掛けは、全てこの程度の「たかが知れた暇つぶし程度の賭け事」から始まっている。

・金銭感覚が変わる
スーパーのチラシを見て10円でも安い商品を探していた人が、1日1万円負けても「今日の負けはたった1万円」と思うようになる。
5万円負けた日も、昼に食べた牛丼が5万円だったと思えば納得できると考えるようになる。
この程度の人なら私の周りにも沢山いるが、この人たちが全てギャンブル依存症になって苦しむわけではない。
しかし確実にこの中から依存症になる人がいるのは紛れもない事実だ。
後になって苦しみたくなければ直ぐにギャンブルは止めるべきだ。

・気前が良くなる
少しまとまった金額を勝ちとった時は友人を誘って飲み食いし、おごるようになる。
こうなると金銭的価値観はギャンブル依存症に付随していると言っていい。
それまでなら回転ずしでも充分満足していた人が、高級すし店に行ってメニューの値札を見ずに注文するようになる。
この段階を過ぎればもう自分の力でギャンブルを止めることができなくなる。
後悔したくなければ、今すぐ止めなければ手遅れになると考えなければならない段階にきている。

・約束を破ったり、平気で嘘をつくようになる
優先順位は常にギャンブルがトップになり、人との約束は二の次になってしまう。
例えば理髪店に予約をしていてもパチンコが止められずに平気ですっぽかし、後で「急用ができて連絡もできなかった」などと嘘をつくことが頻繁になる。
ここまでくれば紛れもなくギャンブル依存症だと言えるだろう。
既に自分だけの力ではギャンブルを止めることも難しくなっているので、思い切って誰かに相談してみることだ。
現在ではギャンブル依存で苦しんでいる人に向けた相談窓口を開設しているNPO法人なども存在する。
あらゆるトラブルを伴うまでにギャンブル依存から抜け出せる人はまだ幸せだ。

・使ってはいけないお金を使うようになったり、定期預金や保険を解約するようになる
生活費や車検のために貯めていたお金をギャンブルに使うようになる。
勝って戻せばいいと考え定期預金は解約、保険など意味がないと理由を付け解約するようになる
この段階までギャンブル依存が進めば家族間のトラブルは避けることができなくなり、その先は不幸な人生に突き進むことになる。
家庭での喧嘩が頻繁になり離婚に至るのもこの段階だ。
この段階まで来た人はギャンブル依存症という疾患に掛かっているが、自分で自覚できる人はほとんどいない。
この期に及んで「止めようと思えばいつでも止めることができる」とさえ思っている。
家族もギャンブル依存症という疾患だということを理解して、治療させる方法を探さなければならない。

・借金をするようになる
誰かまわず「お金を貸してくれ」と言ったり、消費者金融でお金を用立てるようになる。
このような状態になればギャンブル依存症も重症化していると言わざるを得ない。
自分の力だけでギャンブルを止めることは非常に困難な状態だ。
田舎に住んでいる私でさえパチンコ依存症の人が起こした放火事件の現場検証に立ち会ったことがあるほど、全国的に盗難、強盗、放火、器物損壊などギャンブル依存症が絡む事件は多発している。

因みに私が立ち会ったのは大手パチンコ店のメンテナンスに仕事で関わっていたことによるものだが、当時を思い出してもそのパチンコ店のフェンスに車で当て逃げしたり、バリカーと呼ばれる車止めを故意で破壊、パチンコ玉でガラスを破壊するなどは日常茶飯事で、更には先ほども書いたようにパチンコ店のトイレブース内に灯油をまき散らし放火するといった事件にも2度遭遇している。

自分への戒め

私も趣味程度にFX(外国為替取引)をしているが、これもれっきとしたギャンブルであることは間違いない。
トレードと言えば聞こえはいいが、外国為替の変動を予測する丁半賭博と言っても外れてはいないだろう。
FXが賭け事である以上ギャンブル依存にならない保証はどこにもない。
そして前に書いた「ギャンブル依存症になる経緯」にも当てはまることになる。

今のところは大儲けもしていないし金銭価値を変えるほどの取引もしていないが、ギャンブル依存の種を意識せざるを得ない心の動きをしていることも感じることがある。

大した金額でもないにしても、チャートを見ている時は大きく心が動きエキサイトしていることがあるのだ。
そのように心が大きく動いてエキサイトしている時は必ずと言っていいほど損失を出しているが、ポジティブな理由を付けて自分を納得させているのはパチンコと同じ心理だ。

長年サラリーマンとして真面目に働いた人が、定年退職してからギャンブル依存症などで不幸になってほしくないなどと言うのは建前で自分への戒めのために書いているのが本音なのかも知れない。