60歳からの幸せはお金ではなく健康にかかっている

サンサンさんによる写真ACからの写真

日本の要介護者は増え続ける一方だ

2025年には日本の要介護認定者が300万人を超える見通しだ。
毎年8万人増えていることになるが、それでも老後不安のトップは金銭不安だ。
自分も家族も幸せな人生にしたいなら第一に健康を意識することなのではないだろうか。
自分も自分の子どもも60歳から不幸を招きたくなければ今から健康を意識するべきだ。

親の介護負担は家族全員(別居の家族含め)の責任

90歳を超えた父親が寝たきりになって5年目になるが、長男夫婦と同居しているのでもっぱらその長男(64歳)が介護をしている。
長男の妻も体調を崩して寝込むことが多く、父親の介護で無理はさせられない状態だ。
3ヶ月に一度のペースで妹(62歳)が帰ってきて1拍して父の介護をして帰って行く。

父親も軽度の認知症ではあるものの、たまに帰ってくる妹の顔を見るのを心待ちにしているようだ。
夜中に妹の名前ばかりを何度も叫び、長男が介護をしている最中でも妹の名前を呼ぶことが多くなった。

週に3日は介護サービスを受けているので入浴などもお願いしているが、それ以外は行き届いた介護もできずどうしても荒々しい介護になっているのを自覚している長男だった。

そんなある日、久しぶりに帰ってきた妹が「おとうちゃん、どこが痛い?」と言いながらやさしく足をさすっている。
その後長男のところへ来て「兄ちゃん、もう少しちゃんとお父ちゃんの世話してくれへん。床ずれができて痛そうやから」と言って帰っていった。

その後何度も電話をしてきては「お父ちゃんどう?大丈夫?床ずれは?」などとやかましい。
そしてとうとういつもは穏やかな長男が切れた。

その日も妹が同じような内容で電話をしてきたのだが、始めて長男の妻のことを貶したのだ。
「お姉さんももう少しお父ちゃんの世話してくれてもいいと思うけど!」と言ったので、「お前な!3ヶ月に一回おやじに優しい言葉かけていい顔するくらいなら誰でもできることやろ!そんなにわし(長男)の介護に不満ならおやじを連れて帰ってくれ!それができんのなら今後一切口出しするな!」

これは実際に私の知人(長男)の体験を聞いた話しだが、血の繋がった兄弟や家族とはいえもう少し気遣いをするべきだ。
それほど父親のことが心配なら自分で介護を買って出るべきだろうし、それができないなら口を出すべからずと言うのはこの長男に共感できる。

介護の負担は分散した方が上手くいく

両親の介護を負担と思わずにやれる人には頭が下がるが、誰にでもできる事ではない。
介護の状態にもよるが自分の生活を犠牲にしなければできないことがほとんどだ。

自宅で親を介護できない場合は介護施設に入居させるのが一般的となっているが、問題は入居費用の遣り繰りだ。
本人の年金や貯蓄だけで賄える人もあるが、当然年金などにも個人差があるので賄えない人も多い。

軽費老人ホームと言われ費用負担が比較的軽いケアハウスでも介護が伴えば月々15万円が最低ラインだろう。
入居費用の他にオムツなどの実費を含めれば年間200万円程度必要になる。
このケアハウスの場合でも10年お世話になったとしたら2,000万円必要で、本人の年金の額によっては大きな金銭的負担がその家族に圧し掛かる。

平均寿命が伸びたこともあって、両親を介護施設に預けるその子どもの年齢も60歳を超えている人が多くなっている。
自分の子どもが大学などを卒業し家族の責任を果たしたと思ったら、次は親の介護をしなくてはならなくなる。
自分の老後の心配をする前に親の介護負担が圧し掛かる人も少なくないのだ。

中には両親とも80代後半から認知症になり両親二人を同時に介護しなければならい人もいるが、この場合も二人を介護施設に入居させる費用がなく二人同時に家で介護をして疲れ果てたといった事例を聞くことがある。

どちらにしても介護の負担は生活か金銭に及ぶので、兄弟がいれば全員で負担を考えなくてはならない時代になっている。
両親は長男が見るのが当たり前の時代は終わっているのだ。

介護も墓の管理も長男に任せて、遺産分配の権利だけを要求するのは甚だ虫が良すぎる話しなのだ。

寿命ばかりが伸びても健康でなければ家族の負担は増え続ける

日本が国の豊かさによって世界で最も長寿国となっているとメディアに取り上げられていたが、国民の医療費は右肩上がりに増え高齢者の増加によって要介護者もどんどん増えている。

介護施設の空きも少なく生活を犠牲にしてでも家での介護が必要になることが多い一方で、金銭的余裕のある人たちの間では「サツキ」と呼ばれるサービス付き高齢者住宅の需要も高まっている。
今日本では介護施設に入居できる人と入居できない人が金銭事情によって二分されている。

平均寿命が伸びて素直に喜べないのは、家族に掛かる負担も増え続けているという事情があるからだ。
世界の平均寿命は72歳と言われているが、日本人男性の健康寿命と同じ年齢だ。
健康で長生きすることが家族の負担も減らし、人としてどれだけ幸せなことかを肝に銘じなければならないだろう。
日本の高福祉高負担は国ではなく個人の問題だということを忘れてはならない。

理想の人生を全うしようと思うなら

自分の幸せを全うすることは家族にとっても幸せと言うことだ。
そんな人生で目標にしなければならないのは先ず認知症にならないことだ。
認知症の原因や生活習慣との因果関係も徐々に解明されているので、予防や改善の方法も少し調べれば多くの記述を見つけられる。

しかし認知症がどのような症状かを理解していても予防や改善に取り組もうとしない人がほとんどだ。
認知症予備軍だと言われてはじめて慌てるが、本来なら60歳になれば意識して取り組むべきことだ。

人生最後の10年間を寝たきりで過ごすか健康で幸せに過ごすかは60歳からの生活習慣に掛かっていると言っていいだろう。
自分と家族の幸せのためにだ。

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