ウォーキングは健康寿命を延ばすが病のリスクを高める訳

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60歳から始めるウォーキングに潜むリスク

健康に対する知識も時代と共に変わり、昔良かったものが今は悪いと言わるなど情報が混乱しているが、矛盾した情報に惑わされないようにしたいものだ。

車依存がもたらす健康課題

会社まで電車通勤で片道30分歩く人なら一日7,000歩は歩いているだろうが、この程度歩くのが理想とされている。
それに会社内で歩く歩数も加えるとおそらく8,000歩くらいにはなるが、女性は男性に比べ通勤途中で買い物などによって1,000歩ほど多く歩いているようだ。
それに比べ車通勤している人はほとんど歩くことがなく、一日1,000歩以内といった人も多いと言われている。

一日当たりの歩数と脳卒中や心臓病で死亡するリスクとの関係が明かされているが、普段歩かない人に比べ1万歩程度歩く人はそのような病の死亡リスクが45%減少するのだそうだ。
海外の研究結果では歩かない人の運動不足が健康寿命までも短くしていると報告されているのだ。

都市部で生活している人に比べ田舎で暮らしている人は特に歩かない。
田舎と言えば田畑で農作業しているイメージが強く健康的に見えるが、都市部で暮らしている人と比べ歩行距離は極端に短い。

田んぼに行くにも軽トラックやトラクターを使い作業も乗用の機械を使うことが増えているせいでほとんど歩かない。
更に直射日光の紫外線にさらされ健康とはかけ離れた生活になっていることが多いのだ。

田舎で生活をしている人は会社勤めをしている時も歩かないが、定年退職後も更に歩かないから老化が加速して健康寿命が短くなっている。

歩くことを意識しなければ老化が早まる

都市部で生活している人も定年退職後は特に歩くことを意識しなければ、退職と同時に歩行距離は短くなる。

1時間で歩ける歩数は6,000~7,000歩程度だ。
スマホのアプリなどを使って一日の歩数を管理するのがいいだろうが、意識しないと歩かない日の方が多くなる。

ウォーキングを意識し、ちょっとした距離で車やバスを利用するのを止めて歩くのがいいだろう。
60歳過ぎれば老化は目の前だと自覚し歩くことが肝心だ。
歩くことで得られる健康維持や老化防止効果はばかにならないようだ。

ウォーキングにリスクはないのか?

何にしても体にいいからといってやり過ぎるのは逆効果だ。
ウォーキングも同じで毎日1万歩以上歩くのは危険で老化を早めると言う人もいる。

ウォーキングの一番大きなリスクは関節を傷めることだ。
重い物を持ったり、立ち仕事や激しい運動をするアスリートなどで膝関節の軟骨がすり減って痛みを訴える人も多い。

ウォーキングもやり過ぎるとこのような弊害に見舞われる。
よくエレベーターを使わず階段で上り下りをしようと言うが、これも若い世代には効果があるが60歳過ぎていれば関節を痛める原因になるので注意が必要だ。
関節を痛めて歩けなくなるとそれこそが老化を早めることになるからだ。

更にウォーキングの有酸素運動がもたらすのが活性酸素による細胞攻撃だ。
ウォーキングで体に多くの酸素を取り込めば肉体は活性酸素によって錆びつくのだ。
ほとんどの病や老化の原因とされる活性酸素はウォーキングをすることで増えるリスクが心配される。

ウォーキングと紫外線

もっと言えば紫外線も活性酸素を増やす原因になる。
ウォーキングでも農業でも直射日光に当たり過ぎるのは避けた方がいいようだ。

しかし紫外線も悪いことばかりではない。
体内で骨を構成するカルシウムを増やすのに必要なビタミンDは日光浴で補うことができるからだ。
まったくもって矛盾した話しに聞こえるが、歩くのと同じで日光浴もやり過ぎるとよくないと言われている。

冬季なら一日1時間程度、夏季なら木陰で30分程度紫外線を浴びることでビタミンDを補える。
ビタミンDは食事から取り込むより日光から取り込む方が効果的だとも言われているので、外出する時は必ず日焼け止めをするような人はビタミンD不足に注意することだ。
特に女性は日焼けに敏感な人が多くビタミンD不足に陥りがちになる。

ウォーキングを1時間するくらいの歩数と日光浴時間がちょうど適していることになるが、夏季は日傘などを利用して上手にビタミンDを補うことがお勧めだ。
一日に必要なビタミンDを補給するための日光浴は肌の露出度や冬季夏季で大きく違いがあるので、特に夏は紫外線の浴び過ぎに注意したいところだ。

農作業などで1時間以上紫外線に肌をさらすのは、活性酸素による病のリスクを高めるので日焼け止めの利用がお勧めだ。

60歳からのウォーキング

ビタミンDを補う日光浴や運動不足を補うウォーキングでも適度とされる量には当然個人差がある。
若い人と60歳を過ぎた高年齢者では差があって当たり前だ。

若い人に比べ60歳過ぎた人の肌は紫外線をビタミンDに変える能力も少なくなっている。
運動不足を補うためとはいえ60歳過ぎてから激しい運動をしたり急にランニングなどを行えばケガをするリスクが高くなるのは言うまでもない。

何を始めるにしても年齢に相応しい行動が求められるところだ。
ウォーキングも無理をせず継続することが何より重要なのは分かっているが最も難しいことでもある。