熟年夫婦の未来に警告

思い付きのような安易な熟年離婚に警告

妻:「ちょっと今月落ちるカードの明細、パソコンで見て!」
夫:「どのカード?」
妻:「ドコモ」
夫:「今?」
妻:「もういい!」

このような言葉足らずが夫婦間に溝を深め、熟年離婚の切っ掛けになっていくことも多い。

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熟年離婚が増える理由

平成14年をピークに離婚率は下がっているはずだが熟年者の離婚は増えているようだ。
その理由は多くあるが元々人口比率の高い団塊世代が定年に差し掛かったことも大きな要因になっているようだ。

少し前までは妻側から離婚を申し入れる事例が多かったが、最近は夫側から切り出す離婚が増えてきているらしい。
事情が変わった経緯は、少し前まで「働かない夫は粗大ゴミより太刀が悪い」の言葉に理由を読み解けるものだったが、今は「金の心配しかしない妻は犬にも劣る」といって離婚を切り出す男性が増えて来たのだ。

「働かない夫は粗大ゴミより太刀が悪い」の言葉は、粗大ゴミは邪魔にはなるが喋らないからまだいいが、定年退職した夫は邪魔になる上に喋るからイライラが募って我慢できないといった理由だ。
「金の心配しかしない妻は犬にも劣る」は言葉の通りだが、夫は倹約すれば年金で何とか生活をし、最後くらいは好きなことをして生きて行こうと考えても、妻はそれでは物足りなく男は外で働くのが当たり前と考える。
そしてそれを強要するものだから最終手段で夫から離婚を切り出すというようなことらしい。

長年夫婦でうまくやる二つのコツ

最初に書いた会話は今朝の我が家での夫婦の会話だが、これではギクシャクしても仕方ない。
せめてもう少しお互いに言葉を増やさないと尊重のしようがないが、長年夫婦として一つ屋根の下に暮らしていても仲たがいしようと思えば訳ないことだ。

うまくやるコツはやはりお互いに相手を敬うことだ。
そして互いに干渉しないことだ。
夫婦でうまくやるコツはこの二点に尽きると言ってもいいくらいだ。

本来上司や恩師など目上の人に対して使うのが「敬う」という言葉なのだろうが、妻が夫を敬う理由はほとんどの場合、家族を経済的に支えてくれたのが夫だからだ。
そして妻は昔から「御上さん」とか「かみさん」と言われるように、その家の女主人としての役目を果たしてきているからだ。

「敬う」という気持ちは言葉に表れるのが普通で、目上の人には丁寧な言葉を使うことで「敬う態度」を表現しているが、夫婦の場合はどうだろう。
おそらく団塊世代に近い一般的な日本人は、ぞんだいな言葉しか使っていないのではないだろうか。

少し言葉数を増やし、相手の気持ちを考えて言葉を発するだけで夫婦は円満になれるだろう。

そしてお互いに相手が何をしようが、余程のことがない限り干渉をしないのが円満に繋がる。
例えば夫が定年後、海外に移住したいと言ったとしても、妻が移住したくなければ一人で行かせればいい。
海外と日本で別居生活をするだけの話しだ。
例えそのような場合でも離婚するよりメリットは大きいだろう。

夫婦の価値観が合わないのは当たり前

離婚理由の一つに夫婦の価値観が合わないからと聞くことがあるが、そんなことは今に始まった事ではない。
価値観の同じ夫婦を探す方が難しいのではと思えるほどが、いくら価値観や性格が違っていても相手を敬って干渉しなければうまくやっていけるものだ。

価値観の違いや性格の不一致は長年連れ添った熟年夫婦の離婚理由には相応しくない。
実際に離婚までする熟年者には、建前上価値観や性格の不一致といった理由づけをしていたとしても、その裏には別の理由が隠れていたりするものだ。
その理由を多くは言わなくても想像できることばかりだ。

年金分割制度が熟年離婚を煽る

熟年になった夫婦の離婚を止めてくれる者はほとんどない。
子どもがいても自立していればもうかすがいにはなってくれない。
踏み止まる理由があるとすれば離婚に費やすエネルギーだ。
特に離婚に伴って分配しなければならない財産分与は複雑だ。

そもそもここ最近熟年離婚が多くなった切っ掛けは、年金分割制度の改正だ。
元々離婚した高齢女性が経済的に困ることがないように作られた制度が、今は逆に離婚を煽っているといっても過言ではないだろう。

経済的に困窮することがなくなったのが女性が熟年離婚を切り出す場合を見ても分かる通り、経済的にある程度恵まれた夫婦に起こっている現象だ。
元々財産も少なく年金もさほど大した金額ではない夫婦が、この理由で離婚する例は至って少ない。

夫が愛想を尽かされる次期

子どもが大学を出た途端に離婚を申し出る熟年女性には計画性が伺える。
夫が予期せぬ出来事だと慌てても既に妻の意思は固く、踏み止まることはない。
早い時期から計画を立てて実行するだけに、コツコツ貯めたへそくりなど経済的に困る女性は少なく、そのうえ財産分与や年金分割など頂けるものは容赦がない。

離婚の申し出は熟年になってからとはいえ、夫が愛想を尽かされたのはもっともっと早い時期だ。
子育てにも非協力で「俺がこの家を支えている」といった傲慢な態度で若いうちから遊んで廻っていた亭主関白な夫が対象となる。
この場合、子育てが終わる時期と定年時期が重なって惨めな思いをすることになる男性も少なくない。

このような男性の場合、定年退職後は料理を作ることも家事をすることもできずに生活が荒れ果て、アルコールやギャンブル依存になる可能性が最も高くなる。

熟年離婚に警告

先ほどのような何年も前から計画していた熟年離婚は別として、思い付きや我慢の限界で離婚する熟年離婚には一時踏み止まって充分考えてから行動しないと後悔することにもなる。
女性の場合は財産分与で数年食いつなぎができれば、その間に仕事も探してもしいい相手が見つかれば再婚してもいいなどと安易に考えがちだがそれは間違いだ。

世の中そんなにうまく事は運ばない。
財産分与も食い尽くして生活が困窮し、老体に鞭打って辛い仕事をするしかなく、そんな毎日に出会いなどあるはずもないといった熟年離婚女性もいる。

男性から熟年離婚を切り出す場合も増えているが、自由になるはずが離婚をした途端に病気になり孤独感にさいなまれることになった人もいる。
離婚による財産分与で家も売却して一人で夢の海外移住を果たして間もない頃だ。
アジアのコンドミニアムに引っ越したが、急激な環境の変化と慣れない食べ物に体が付いていけずに体調を悪くしたのだ。
テレビなどで見ていた定年後の夢のような海外移住生活とはならなかった。

今は体調の悪化でやむなく日本に帰国し、自立している子どもが住む近くの病院に入院して快復させることに専念しているとのことだ。
結局大切な老後資金は半減し、やむなく子どもにも迷惑を掛けてしまって今も退院後の住まいは決まってなく不安だけを残すことになったと悔やんでいる。

このような熟年離婚が招いた不幸は熟年離婚が増えるに従い多くなっているようだ。
決して今が健康だからと言って安易に熟年離婚はしてはいけないと警告する。

熟年離婚で思い通りの未来になる可能性は考えている以上に低いのだ。
できる限り「相手を敬い干渉しない」の二つのルールを実行し、離婚せずに進む道を探ってほしい。
これは私自身への警告でもある。

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