60歳からの生命保険は不利益しかない

60歳超えてからそもそも生命保険が必要なのか疑問しかない。
20代から60歳を超す今まで生命保険に加入してきたが、保険金を受け取ったことがないのは自分が健康だった証しとして喜ばなければならないのだろうか、それとも損をしたと悔やむべきなのだろうか。

これだけは読んでほしい項目

日本郵政グループ社長ライブ会見を見ながら感じること

60歳からがんになる確率は50パーセントではない

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60歳超えて死亡保険は必要ない

もしも自分が死んだら葬儀費用など平均でも200万円程度かかるようなので、子どもたちが困らないように300万円程度受け取れる生命保険に加入しておこうと考える人は多いようだ。
しかし老後資金に不安があったり生活や旅行などの楽しみを切り詰めてまで加入する必要はまったくないのではないか。
死んだ後のことまで心配して今を楽しく心豊かに暮らせるはずもあるまい。
もし自分が死んだ時、まだ幼い愛する子どもが生活に困るといった場合にだけ死亡保険が必要なだけだ。

保険で全ての不安を解消することはできない

人生100年時代と言われている現在、リスクを挙げればきりがない。
病気や事故、災害や事件、損害など、いつ自分に降りかかってくるか想像するだけで気が遠くなってくるだろう。
その全てのリスクを回避するための保険に加入するとすれば、どのくらいの保険料が必要なのだろうか。

生命保険や医療保険、自動車保険、自転車保険、ゴルフ保険、火災保険、介護保険、ペット保険、旅行保険、がん保険、就業不能保険など上げればいくらでも出てくる。
しかもどの保険も十分な保証を得ようと思うと保険料はいくらでも高額になる。

保険貧乏という言葉があるように不安ばかりを必要以上に意識すると、あらゆる保険勧誘から逃れられなくなるだろう。

保険で得をすることはない

保険とはどういった仕組みなのだろう。
そもそも保険制度とは困った時援助しあう互助的精神の基作られた制度だ。
それがいざというときの保証をお金で買う保険会社の商品と化していったことを理解しておく必要がありそうだ。
多くの人が支払った保険料を公平に分配しているのではなく、支払った保険料よりも多くの保険金を受け取っている人とそうではない人が存在していることも保険の特徴だ。
更には保険会社の莫大な人件費を含めた経費や、集めたお金で運用される投資のリスクも賄われているのだろう。

要は保険加入者が損をすることはあっても保険会社が損をすることはないのではと考えてしまう。
しかも支払った保険料より多くの保険金を受け取った人も、保険会社と違って病気やケガなど多くの代償が必要になる。

「保険とはそんなものだ、今更何を言っている」と言われれば返答のしようもないが、よく考えないと必要以上の保険に加入しても自分の身を削っては意味がないことを言いたいのだ。

意味が理解できない貯蓄型保険

保険の種類にも定期型や終身型、養老型などあり、その中でも複雑に多種多様な保険が販売されている。
貯蓄型保険の中には支払った保険料より満期払戻金として受け取る保険料の方が多くなるといった保険外交員にとって最も売りやすい商品も存在するが、誰にもリスクがないわけではない。

中には高額な保険料を支払ったが急に支払いできない事情ができて早期解約を申し出ると、払戻金が支払った保険料より遥かに少ない金額だったといった人も少なくない。
それに元金が保証されていないものも多く、昭和バブルが終わった時の養老保険のようにプロと言われる保険会社の投資をする人たちの失敗を加入者が負担しなければならないことも起こり得る。

つまりこのような保険は保険契約者や被保険者のためというより、保険外交員のインセンティブを高めるために存在すると思うのは考え過ぎなのか。
そのように考えると、少しの利益を得るために長期にわたって担保しなければならない高額な保険料を払い続ける貯蓄型保険の価値は高くない。

いくら金利が低かろうが、いつ何時引き出しても元本保証された預金や貯金の方が遥かに貯蓄としてのリスクは低いと言いたい。
万が一の備えと貯蓄の両立と言えば納得してしまいそうだが、その契約内容にも貯蓄型保険によって複雑ともいえる条件が絡んでいる。

60歳からがんになる確率は50パーセントではない

保険会社の関係者は「今は二人に一人が癌になる時代ですから、がん保険の加入は必須ですよ」と言うが、それでも二人に一人は癌になっていないのだからがん保険のメリットを受け取っていない人も二人に一人以上いるのは間違いない。
しかもこの二人に一人というのは生涯に渡って癌になる確率で、60代の人が癌になる確率ではない。
さらに言うなら生涯に渡って癌になる人の中には60歳までに癌になっている人も含まれるので、60歳から癌になる確率は50%ではない。

「二人に一人はがんになる」という台詞はがん保険加入を促す最も有効なセールスアプローチであって、そんなに恐れることはない。
国立がん研究センターの統計では60歳から20年後、つまり60歳から80歳までにがんで死亡する確率は男性で13%、女性ではたった7%だ。

※参考:国立がん研究センター
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

日本郵政グループ社長ライブ会見を見ながら感じること

この記事を書いている最中もかんぽ生命不適切販売問題で日本郵政グループ3社社長のライブ会見が行われているが、このような不適切販売はかんぽ生命だけに限らない。
この会見を見ていても強く感じるのは、高齢者の日本郵政に対する信頼を利用した営業利益重視の経営戦略をとっていたのが本音のように聞こえる。
自分たちの利益のために現場に金銭的インセンティブを利用して負荷をかけ、顧客満足を重視しなかったツケが今問題になっているとしか受け取れない。

このような保険の不適切契約はかんぽ生命に留まらず、日本の生命保険会社や最近流行りの外資系保険会社のインセンティブの実態を知れば想像がつく。
更に銀行から保険会社に鞍替えする人材の多さを見ても明らかだろう。

不安解消が買える保険商品の代金(保険料)が適正かどうかは判断が異なるだろうが、先ずは必要以上に不安を煽ったりお得な商品といった言葉には気を付けたい。

今思い出せば私の母が亡くなった時、母が加入していた保険の中で保険金を受け取るのが一番難しかったのが郵便局で入っていた保険だった。
その内の一つは必要書類に不備があり郵便局で問い合わせても説明が二転三転され、結局受け取ることを諦めた保険まであったのを思い出す。
金額がさほど多くはなかったにせよ、母が生活を切り詰めたお金で支払ったであろう保険料だと考えると切ない気持ちが込み上げる。

今見ている日本郵政グループ3社社長の自信に満ちた流暢な多くの言葉の中に、私の母のような力の無い高齢者を思いやる気持ちを感じることができなかったのが残念だ。

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