就職で迷ったら好きな仕事は選ぶな!

就職で分からなければ好きな仕事は避けるべき!

できることなら好きなことを生涯の仕事としてやり遂げたいと思う人は多い。
もしそのようなことが可能ならどれだけ幸せだろうかとも思えてくる。

好きなことを仕事に選ぶのは間違っていると誰も教えてくれない

多くの新卒者は初めての仕事を選ぶとき、自分の得意分野や好きなこと、またそれに関連した中から選ぼうとする。
しかしそれが間違いの元だと誰も教えてはくれない。

いや教えてくれないのではなく間違いだと思っていないのかも知れない。
それが自分の父親であっても明確な答えを期待してはいけないのだ。
「やりたいことがあるなら、一生懸命やりなさい」と理解を示した言葉の中には、「私もやったことがないから分からないよ」という意味も含まれている。

それどころか定年退職をするような歳になっていても、どんな仕事が自分に向いているのかなど分かっていない人の方が多いだろう。

好きな仕事を選んで挫折する例

旅行が好きだという青年が地方都市にある旅行会社で働いている。
「明日から添乗員でシンガポールなんですよ」という彼の表情に曇りが見えるので聞いてみた。
「いいじゃないですか、いろんなところに行けて」と言うと「それがそうでもないんですよ」と表情からうっすら予測できた返事が返ってきた。

「旅行が好きで旅行会社で働いてるんですよね」と聞き返してみると、「確かに旅行は今でも好きですが、仕事となると辛いことが多すぎて」と言葉を詰まらせた。

彼はプライベートで行く旅行は好きだが、旅行会社の添乗員として行くのは旅行ではなく仕事そのもので辛いだけだと言いたいのだ。
今回の添乗も毎年海外旅行で使って下さる団体客で、会社にとってはお得意様だというが、高齢者も多く旅先でも24時間気を抜くことができないのだ。

旅行先でも「財布に入れていたお金が無くなっている」「セキュリティーボックスが開かない」「エアコンが効きすぎる」「パスポートが見当たらない」「水を買ってきて」など時間に関係なく笑顔で対応しなくてはならない。

「もう限界なんです」の言葉が彼の表情が暗い理由を表している。
大学を卒業して新卒で入社してから3年目のことだ。

大学も将来やりたい仕事を見つけるために入学して、在学中にアルバイトをしながら好きな旅行にもよく行ったのだ。

その旅行で強く思ったのが「観光だけが旅行の楽しみではない、その土地の文化に触れてこそ楽しい旅行になる」ということだった。
そこで卒業後は旅行会社に就職をしてそんな旅行プランを組み立てるような仕事をしてみたいと思ったそうだ。

大手の旅行会社を何社か受けたが内定には至らず今の会社に就職したのだ。
ところが今の会社はオリジナルのツアーは少なく大手から仕入れたツアーがほとんどで、同じ旅行の仕事でもやりたい仕事ではなかったのだ。

何とか3年間は辛抱したものの常に自分の気持ちに違和感を持ったまま続けている状態と言える。

夢や期待が離職率を高める

このように夢を持って入社した会社で思いが違ったという例は非常に多い。
特に現在のように人手不足時代で人材確保が非常に難しい地方の中小企業では、就職詐欺と言ってもいいのではと思うような会社も珍しくはない。
それほど入社前の説明と入社後に食い違いがあるのだ。

就職説明会でも対象者に対し夢や希望が叶えられる会社とアピールするが、実際のところは入社してみないと分からないのが実情だ。
夢や希望を持って入社した人が思いと違った場合に、我慢できる期間が1年から3年と言われている。

それでも給与や福利厚生が良ければ我慢して続ける要素にはなるが、ほとんどの場合それも期待できるほどではない。
返って夢や希望がある訳でもなく仕方なく入社した人の方が継続する率は高い。

入社してからポジティブになれる人が継続できる

期待して就職した人より何も考えずに就職した人の方が入社後に希望を見つけようとする人が多いように感じる。
先ほどの旅行会社の例でも期待がなければ「仕事なんだからこんなものだ」と捉え、経験を積むにしたがって対応の幅も広がり遣り甲斐に繋げようとするからだ。

将来に夢があり期待に胸を膨らませた人の挫折感は、今後それを改善しようとする前向きな思いを上回る。
特に失敗や挫折の経験が少ない若い人ほど我慢できずに辞めてしまう人が多いが、そんな真面目な人ほど次の再就職が難しくなる。

企業はそのようなメンタルヘルスケアを厚生労働省の指針により取り組まなければならないが、まだまだ十分に機能している会社は少ないようだ。

将来好きなことを仕事に選ぶ条件

憧れと好きには誤差があるように、好きだけで仕事を選んでは挫折する可能性が高くなる。
例えば小学校の恩師に憧れ、「あんな先生になって子どもに夢を与えるような指導がしたい」というのと「教えることが好きだから小学校の先生になる」との差だ。
憧れには強い思いが存在するので、給与が少ないとか労働環境が悪いなどの理由は辞める理由にはなりにくいのだ。

好きなこと遣りたいことを仕事に選ぶなら、相当強い気持ちがないと続かない。
好きだから遣りたいということだけが原動力になるくらいの仕事でなければならない。

好き遣りたいという条件だけでも難しいが、それに関連が付くと更に職選びの理由には相応しくない。
例えばスポーツが好きで体を動かすのも大好きだが、スポーツのインストラクターでは収入が期待できないのでせめてスポーツ関連の会社を選ぶといったことだ。

そこにはスポーツという期待しか存在しなくなるので、ほんの少しでも期待が外れると辞めたい理由になってしまうからだ。

そもそも就職に期待する感情は禁物だ。
期待は短期で裏切られると思っていた方が間違いない。

それでも好きなことを仕事にしたいなら、「10年や20年で叶わなくてもいずれ叶えてみせるといった強い希望だけで生きることができる」くらいの覚悟が必要だ。

※合わせてお読み下さい

転属転勤は人間関係のリセット 今年も辞令が交付され転属、転勤の時期がやってきた。 ときにはせっかく慣れ親しんだ居心地のいい職場から移...