急速に変わりゆく外国人との関わり


道端で外国人に声を掛けられるのが普通になる

アジアの多くの国々(9カ国)では春節(旧暦の元旦)に伴う休暇で、特に中国人の訪日が毎年増えていると報道されている。
10年ほど前から中国のGDPは日本を追い越して急激に成長し、知らない間に日本の3倍までになっていることに驚かされる。
従って訪日されるような中国の人々はかなりのお金持ちだと推測できるが、2015年の中国人による爆買いという現象が、翌年にはなくなり今年は体験型へと変わってきたようだ。

「人の振り見て我が振り直せ」というが、自分のことは見えにくくても他人のことは見えやすいものだ。
訪日される中国人からは尚更いろんなことを読み取れるが、急激な経済成長についていけている人は一気に裕福な環境へと生活水準が上がってきて、変わりゆく価値観は日本人の数十年分を凝縮したかのような目まぐるしさに見えてくる。
旅行で爆買いをしていた、物への執着が今は外国文化に触れあうといった体験へとあっという間に変わったのだ。

テレビなどのメディアでは、連日のように中国人のマナーの悪さが報道されていたが、今や日本の3倍ものGDPになるほど経済成長を遂げた国なので、そんな人は中国でも一握りの人だろうと思いたい。
ましてや今、訪日されるような中国人に昔のようなマナーの悪い人はいないだろうと信じたい。

日本でもSNSで炎上しているアルバイト店員の悪ふざけは、ほんの一部の若者の仕業であってその報道を見て「今や日本の民度は地に落ちた」と言うことにはならないだろう。
しかしいくら報道するネタがないからとはいえ、このように長い時間報道されると見ているほうは「フランチャイズの飲食店は大丈夫なのか」と疑ってしまいたくなるので、マスメディアの影響は軽視することができない。
おまけに煽り運転報道も含めると外国人に対し、日本人の民度にまで落ちた印象を与えかねない。

統計では昨年(2018年)の訪日外国人が3000万人を突破し、その年の11月だけを見ても中国、韓国、台湾からの訪日外国人数が154万人を超えている。
こうなれば私たちが日常生活で中国や韓国の人と接する機会も増えてくるだろうが、その時どんな接し方をすればお互いに気持ちよく接することができるのか考えておいたほうがいいだろう。
私のような田舎暮らしをしている者でも昨年はそのような場面に遭遇したくらいだから、都市部や観光地近辺で暮らしている人は外国人との接点が今後増えてくるのは明らかだ。

外国人との触れ合い体験
昨年(2018年)の10月、娘に背中を押されて登った天空の城で有名になった竹田城で、10数人の台湾から来られた団体客に出会った。
帰りの細い山道で写真を撮ろうと立ち止まり後ろを振り返ると、その台湾からの団体客の内の二人が迫って来られたので「どうぞ先に通って下さいと」道を開け手招きすると、1人のご婦人がつたない日本語で「ありがとう」と言って頭を下げて通りすぎた。
日常どこにでもある一言なのだが、この一言で私の中にある台湾人の印象がいい方に傾いた。
その前に10数人の団体の印象は話し声が大きく、少し騒がしいイメージをもっていたので、尚更この「ありがとう」の一言に救われたのだろう。

その翌月、今度はカンボジアに行ってインパクトの強い出来事に遭遇することになった。
その日はアンコール遺跡の見学を終えてシェムリアップの中心部にある大きな市場で、同行者が買い物をしたいというので付き合っていた。
アジアの市場でショッピングをするときは、値段交渉は現地の人とのコミュニケーションであって、旅行者の楽しみ方の一つになっているが、その日も冗談を交えて買い物をしていた時にその出来事が起こった。
その店の女性も片言の日本語で「この商品は少し高いけどいい品物なので社長にはよく似合うよ」などと冗談交じりで勧めてくるのを、同行者も冗談交じりで「貧乏な社長やからもう少し安くして」などとよくある旅行者の会話をしていた時、こぎれいに着飾った中国人のご婦人がどこからともなく現れ、これまた片言の日本語で「あなた貧乏ならお金あげよう」と財布を取り出し、カンボジア通貨の1000リエル札(30円程度)を出して押し付けてきたのだ。
最初は呆気にとられこの店のオーナーかと思ったが、どうも店とは関係ない中国から来た観光客のようだ。
まったく関係ない見ず知らずの人から楽しいショッピングの邪魔をされ、無視してその場を離れたが、後で考えて見ると日本人嫌いな中国人の嫌がらせとしか受け取ることができなかった。
次の日に改めて同じ店に行くと、店のカンボジア人女性もよく覚えていて、「あなたたち昨日中国人に貧乏とからかわれて可愛そう」と冗談ぽく言われたが、その言葉に悪気のないことは顔を見れば明らかだった。

カンボジアからの復路で、中国南方航空のチェックイン時に同行者と席が離れたので、飛行機に搭乗後、若い中国人男性に席を変わってもらえないか簡単な英語で「seat change ok?」とお願いすると(失礼な言い方だったかも知れないのに)、嫌な顔もせず「Ok sure!」と言って変わって下さった。

カンボジアでも日本人より中国人や韓国人の方が多く、どこに行っても日本人が多い時代は既に終わっていることを実感することになった。
中国の経済事情が急速に変わったように、私たちの外国人と関わる度合いも急速に多くなっていくだろう。
そんな時代に文化も考え方も違う国の人とどう向き合っていったらいいのか、他人事ではなくなってきている。

今日本人の中国嫌いや嫌韓が増えているのはマスメディアの責任と言っても言い過ぎではないだろう。
逆に反日教育を受けている中国人や韓国人が訪日するのは決して反日ではない証しだといえる。
韓国でも「昼は反日、夜は親日」と言われるが、日本人もこれからは実際に触れあって相手の国のいいところや悪いところを見定めるようになっていくだろう。