60歳の分岐点

Michael MürlingによるPixabayからの画像

60歳の分岐点

サラリーマンをしていると大方の人は60歳で定年を迎える。
そして継続雇用制度を利用して会社に残るか、それとも退職して違う道に進むのかを選択することになる。
今、日本男性の平均寿命は80歳を超えているが、健康寿命となると72歳なのだそうだから、60歳を過ぎれば最後の人生が後12年しか健康でいられないと言うことになる。

継続雇用は人生フェードアウトの始まり

せっかくこの世に生を受け一度しかない人生なのに、このまま惰性としか言いようがない継続雇用で貴重な5年を過ごしていいのか疑問に感じる。
たとえ雇用延長を受け入れたとしても最長で5年間だけ今の生活が続けられるだけで、その時が来ればまた同じように悩むことになる。
継続雇用は通常3割以上割り引かれた給与で働くことになるが、私たちはそんな急に会社に貢献できなくなるのだろうか。

サラリーマンとは「働かせてもらえるだけありがたい」と感謝をし継続雇用を受け入れなければならないのだろうか。
このままではどう考えても人生をフェードアウトしているように感じるのは私だけなのか。

60歳定年は人生最後の分岐点

明日の命すら保証されていない人生だからこそ、この60歳という分岐点を唯の通過点にしてしまっては勿体ないと感じるのだ。
世間的にも定年という大義名分を授かっているので、退職して違う道へ進もうと誰も道理から外れているとは言わないだろう。

65歳までサラリーマンを続けた場合は、そのまま年金生活へと移行することになるだろうが、60歳で辞めた場合は他に生きる道を探さないとその間の空間を埋めることができないと思えるのは収入を第一に考えているからだ。

定年退職の60歳と次の65歳の年齢には、たった5年とはいえ気力や体力の衰えの差がどれほどのものなのか想像するしかないが、60歳の今なら何とか最後に今までとは違った新しい人生を作れるのではないかと希望も持てる。

考えてみれば今までは子どもや家族のために、妥協してリスクの少ないサラリーマンを続けて来たのではないかと思ってしまう。
それが悪いのではないが、せめて最後くらい自分のために生きてもバチは当たらないだろう。

10年など過ぎてしまえばまぶたを閉じる程に短く感じる時間なのだから、この60歳と言う分岐点を最後のチャンスとして活かしたい。

子育てを終えた途端に親の介護

私たちの年代は、ほとんどの人が子育ても終えているが、終えたとたんに今度は親の介護に悩まされる人が多いようだが私の場合は50代だった。

同居していた母親が認知症になり度々家庭内で事件が勃発し、大変な思いもした。大変かどうかは個人差もあろうが、気丈で負けん気の強い母が認知症になった時、予測していた通りになった。

被害妄想に始まり通帳やお金、鍵などが毎日無くなるようになった。
いや実際には無くなってはいないのだが、被害妄想のせいであらゆる所に隠すようになったのだ。

私は仕事から帰って毎日一時間程度探し物をしなくてはいけない状況に陥ったが、疲れて探し物を怠った日は、夜中の2時3時に私が取ったかのように大声で罵るからたまったものでない。

時には仕事中に近隣の方から電話があり「鍵が無いから家に入れない」と母が言っているなど、例を上げればきりがないほどだ。

そういった状況が脳梗塞で倒れて入院するまで続いた。

その後二年で亡くなったのだが、今思えば母にやさしくできたのは、亡くなる前の半年ほどだけだった。
「親孝行したいときには親はなし」と言うが後悔の念だけが残っている。

だが結果的には私が定年を迎えるまでに親を見送ったので、60歳を分岐点だと言えるのかも知れない。
もし今も親の介護状態に置かれていれば、そんなのんきなことは言っていられないだろう。

しかしこれが人生を見直す最後なのには間違いない。
60年の人生を経験して言えることは、どの道に進もうと間違った道はないが、自身の行動によってその道の向かう先が変わるのは間違いないだろう。

人生は考えているより短い

会社の同僚が50代の現役で亡くなって葬儀に参列したとき、導師様が「誰でも明日の命すら分からない。人生は短く、はかない。だからこそ人の命は尊いのです。」と説法された言葉が今も心に響いている。

これまでの人生を振り返り、これからの人生を夢見る。
今こそがそのターニングポイントになるのではないか。

そこには不安あり、挫折があるかも分からないが、勇気と希望を振り絞るだけの甲斐はあると感じる。

そう自分に言い聞かせている。

コメント

  1. 早房 和子 より:

    良いブログを見つけて、教えてもらうことも多々あり、勉強になりました。自分は、61歳で40年勤めた会社の再雇用先を思い切ってやめました。在職中は、事務職でしたが、再雇用で軽作業(掃除含む)を担当し、仕事にやりがいを感じられなくなりやめました。61歳での再就職先は、捜すのに大変苦労し、今は新しい仕事で苦労しています。しかし、60歳ともなると、仕事よりやりたいことをやるべきかなとも思うこの頃です。このブログを見て、色々考えさせられます。ありがとうございますと感謝したいです。

    • saiga yumezou より:

      貴重なご意見を頂きありがとうございます。
      私も正解のない分かれ道でいつも迷っています。
      お金のために生きるのではなく心が豊かに潤うことを求めていますが、未だに俗人から抜け出すことができずに苦労しています。
      家族や周囲の人に感謝して希望だけは捨てずに生きて行こうと奮闘していますが、なかなか思うようにはいかないですね。
      早房様も健康だけにはご留意いただきご活躍されることを願います。
      このブログを読んで頂いたことにも感謝します。
      今後ともよろしくお願い申し上げます。