定年退職後の居場所にも変化が!

toyaさんによる写真ACからの写真

ゴルフ練習場はシニアが集まる社交場

長年サラリーマンをやっていると定年退職後の生活になかなか慣れることができない。
自分の居場所を見つけるのも一筋縄ではいかない。
居場所があってもやることが無ければ意味はない。

定年退職前に納屋を改修して作った居場所の居心地

今日も予定通り7時前に起床した。
スマホのアラームは7時に鳴るが、その音に起こされることは滅多にない。
大概は既に目が覚め、7時のアラーム音の鳴るのを今か今かとベッドから起き上がらずに待っているが、待ちくたびれてアラームが鳴るより先に起き上がる日の方が多い。

以前は母屋から出勤するかのように納屋の居場所に来ていたが、今はその居場所のロフトにベッドを持ち込みそこで寝ている。
そのロフトの天井は低いものの立ち上がって何とか頭が付かない程度の高さがあり、四畳半の広さもあることから落ち着いて休むことができている。

定年退職したらまさか母屋で毎日テレビを見て過ごすこともできまいと思い、退職前に古い納屋を定年退職後の居場所として改修した場所だ。
この居場所のリフォームで「やはり間違ってなかった」と思えるのはトイレを設置していたことだ。

トイレと洗面室があるからこの居場所で寝ることも可能になっている。
トイレが無ければわざわざ母屋までトイレの度に帰らなければならないが、その必要もなく今ではこの居場所こそが私の城となっている。

失敗だったのは退職前の居場所づくりの段階ではここで寝ることを想定していなかったことから、ロフトに上がる階段を簡易的なものにしたことだ。
踏み板が狭く急こう配で、60歳過ぎた体には少し危険だと感じるような梯子階段だ。
ここに無いのは浴室とキッチンくらいで、風呂と食事が母屋に帰り家族と触れ合う唯一の時間になっている。
それでも在職中に比べれば家族と話す時間は多いと感じる。

納屋の居場所での暮らし

ロフトに置いたベッドから立ち上がってまだフラフラした体で急こう配の梯子階段を降り、カーテンを開けると東の窓から朝日が差し込む。
夏は閉め切っていたが秋になってやっと開けることができたカーテンだ。

トイレに行ってから顔を洗いステレオのスイッチを入れ、小さめの音で聴く曲はその日の気分で決めるが今日はビリージョエルだ。
3曲目のイントロが流れ始めた頃、畑に咲いたコスモスの向こう側に見える踏切が鳴り始める。

昨日のままに散らかっている机を片付けながらパソコンのスイッチを入れ、ニュース速報の見出しに目を通した頃もう一度踏切が鳴るので7時半だと分かる。
そしてステレオやパソコンのスイッチを切って納屋部屋に鍵を掛け、朝食のため隣の母屋の鍵を開けるのだ。

近所の人からは納屋の方に表札を掛け直した方がよさそうだとからかわれるが、寝室まで移したのだからその意見は正しそうだ。

週に一度のゴルフ練習場

今日は車で1時間かけてゴルフの練習場に行く日だ。
朝食を済ませてからキッチンで水筒に水素水を詰め、退職してから買い替えた燃費のいい中古車で練習場に向かった。

先週来た時は770円だったが800円に値上がりしていた。
今日から消費税が10%になったからにしては計算が合わないと思ったが、元々シニア価格で3時間打ち放題と割安なので文句は言えない。

今日も平日にも関わらず空いてる打席が少ない。
一階打席を見る限り40人以上のお客さんが60歳以上のシニアの人で埋められている。

この練習場へ来た日は何故か心も落ち着き安らぐのは、この同年代の人たちと共通の時間を共通の趣味で過ごしている安心感からだ。
一人でいる時は平日に仕事もせず遊んでいるかのような罪悪感に苛まれる。
最近は慣れてきたとはいえ何十年もサラリーマンをして「平日は仕事をする日」という常識が身についているせいだろう。

中には毎日この練習場へ来てほぼ一日を過ごすシニアの人もいるくらいだ。
見ていて分かるがゴルフの腕前もシングルに違いなくクラブを降る姿も堂に入っている。
ずっと練習をされている訳ではなく知り合いが来ては話し込んだり、空調の効いたフロアで新聞を読んだりする時間の方が長い超の付く常連だ。

この練習場が10分以内で来れる場所にあるなら私も毎日来ているかも知れない。
この時期は稲刈りも終わり農繁期が一段落したこともこの練習場が賑わっている理由だ。

練習場からの帰り、ガソリンを入れようとキャッシュレスポイント還元のシールが貼ってあるスタンドを探したが見つけることができなかった。
やはり田舎ではこの事業に登録している業者は少ないようだ。

決まった時間、決まった曜日に決まったことをする

ゴルフ練習場に行くのは週一回火曜日の午前中と決めているが、この自分で決めているルールこそが定年退職者にとって意外と大きな意味を持っている。
同じ曜日の同じ時間に行くからこそ、そこで知り合う人もいる。

同じ状況で同じ価値観の人と話すことはストレスを解放する事にも繋がり、今後の人生のヒントを貰えることもある。
ゴルフの上達だけではなく、この人との触れ合いこそが一時間かけてこの練習場までくる価値と言ってもいいくらいだ。

ゴルフの練習場以外で、平日の朝からこれだけシニアが集まる場所が他にあるだろうか。
思いつくのはパチンコ屋さんくらいだが、私はパチンコ屋さんに行く甲斐性は持ち合わせていないので今のところこの練習場が最善の社交場とも言える。

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