今だから言える定年退職の三つの準備

少しでも早くから始めたい定年退職の準備

定年退職してもう少しで一年になるが、定年退職の準備をもっと早くからしていればよかったと反省している。
定年退職はサラリーマンの特権だと言ってもいいのに、先日のサラリーマン川柳にも表現されているように雇用延長や定年延長でその特権が失われつつある。

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目次

1. やりたいこと
 中学生や高校生に「将来なりたい職業は?」と聞くのとさほど違いはないように感じるが、違いがあるとすれば人生経験の年月ぐらいで、やりたいことはそう容易く見つかるものではない。

2. 居場所
 昔リストラに合った人が家族には言えず、毎日出勤するように家を出て公園などで時間をつ
ぶす映像が頭に焼き付いているが、定年退職が迫っている人にとっては他人事ではない。


3. 生活基盤

 家賃収入などの副収入があり、生活資金に不安がない人にとっては準備の必要もないと思われるだろうが、それだけではない第二の人生を送る基礎となるものがある。

1. やりたいこと

定年後に生き甲斐になるようなことを見つけようとしても、そう簡単に見つかるものではないが、やることがないから雇用延長を受け入れるしかないとも言えるだろう。
できることなら50歳になれば定年退職を意識して準備することが望ましいと思われるが、50歳と言えば子供は大学生で教育出費が一番大きい時であったり、会社でも責任が一番大きくなる年代に入って定年退職のことなど考える余裕もないだろう。
この時期に定年退職を意識するのは困難だとしても、仕事以外で打ち込めることを見つけることができれば定年退職後の精神的不安は一つ少なくなる。
少し考え方を変えれば定年退職後にやることではなくて、今すぐにでもやりたいことと言うほうが簡単に思えるが、大概のサラリーマンにはやりたいこと自体がないのが一般的なのだろう。
もし趣味を持っているならその趣味を伸ばしてもいいと思うが、定年退職後は趣味ではなくなり毎日向き合って生活の一部になり得るものというのが条件になる。
毎日飽きもせず打ち込めることになるとそうそう単純ではないが、このやりたいことが三つの準備の中で一番重要でもあり、見つけるのが難しいと言わざるを得ない。

2. 居場所

会社という居場所がなくなるので、毎日を過ごす場所を定年退職までに準備しておくことをお勧めしたい。
家に居場所がある人は何もわざわざ作る必要もないだろうが、果たして本当に毎日家で過ごすことができるか考えておいた方がいいだろう。
やりたいことと合わせて、できれば家を出て母屋とは別の場所に準備するのが望ましいだろう。

最近なら少し田舎に行けば格安で空き家を借りたり購入することもできるので、在職中に手に入れておけば退職後の居場所となる。
通うのに遠距離でお金も掛かるなら、そこに住んでしまって週一で家に帰るくらいの生活にするのも悪くはないだろう。
農業に興味のある人なら田畑付きの格安物件も多くあるはずだ。
しかし農業も誰もが思うほど単純でもないので、退職までに予備知識や経験をしておくに越したことはない。
定年退職していきなり農業に手を出しても期待に反し「こんなはずではなかった」となりかねない。

居場所を作る予算を気にしないのなら、退職後であろうと場所がどこであろうと問題はないだろうが、一般的なサラリーマンなら予算を考えないのは現実的ではない。
ただ、田舎に格安物件が多いとは言え安易に購入するより、先ずは一度借りるなどして近隣の住民ともコミュニケーションを体験してみることから始めるのが賢明と言える。
特に都会で暮らしてきた人が田舎に馴染むことができないとなっても不思議ではないからだ。
私のように元々田舎暮らし田舎育ちで田畑があるとしても、退職してから農業機械まで購入して好きでもない農業に専念することはできないと考えている人も少なくない。

3. 生活基盤

敢えて老後資金とせずに生活基盤としたのは、定年退職後に必要なものが老後の生活資金だけではないことを言いたいからだ。
例えば会社の社宅に住んでいる人は退職と同時に退去することになり新しく安全に安心して暮らせる家が必要になるだろうし、賃貸で生活している人は退職後も家賃を支払い続けるか持ち家に切り替えるかの判断を迫られる。
準備しておきたい生活基盤は安心して暮らせる家だけではなく、健康を維持するための生活習慣改善に早くから取り組んでおくことも重要だと感じている。
やりたいことや居場所が見つかっても健康でなければ意味がない。
禁煙や体力づくり、食生活の改善は定年退職してから始めても一度に全てができるものではない。
定年退職後に黄金の15年を始動させたいなら、早くから自分の食生活や体調管理を分析し、少しずつ改善しておくべきだ。
禁煙は無論、早めの就寝やウォーキング、朝食の質の改善や飲酒の量などは少しずつ継続してルーティン(日課)としておきたい。

健康な体があってこその第二の人生だということを忘れてはならない。
極めて当然と思える健康な体づくりは、特に昭和を生きたサラリーマンの最も忘れがちな項目なのではないだろうか。
私も60歳を過ぎた今になって、もっと早くから取り組んでおくべきだったと悪癖の所為にして改善しなかったことを悔やんでいる。

私の知る人の中にも、これらの準備ができなかっただけで歳を取ってから仕方なく働きに出ている人がいることは確かな事実だ。
例えば老後の生活資金には不足ない貯蓄があり健康であっても、「家に居てもすることがないから仕方なくシルバー人材センターに登録して働いている」とか「家に居ても居場所がないし、落ち着かないから好きではないが農業をしている」といった人たちは、定年退職の準備ができなかったが故の人生に思えてならない。

定年退職というサラリーマンの特権を捨てないようにするには、そのための準備を怠らずに着々と進めることが重要ではないだろうか。

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