人生が60歳で終わる訳でもなければ65歳や70歳で終わる訳でもない。
定年が人生での仕事の終わりでもなければ、定年退職が仕事の終わりという訳でもない。
60歳定年は、60歳を人生の分岐点にするため
日本人の健康寿命は平均寿命より10年も短い
健康寿命とは日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと(Wikipedia)とある。
平均寿命との差が男性の場合で約9年、女性の場合は約12年ということが内閣府のサイトで見ることができる。
つまりは日本人の平均寿命は男性が80歳を超え、女性は90歳に迫ろうとするほど長生きだが、決して健康で長生きしている訳ではないということだ。
これらのデータを基にもの申せば60歳を分岐点にした場合でも健康で働ける時間は男性で12年(72歳)、女性で15年(75歳)程度しか残されていないことになる。
最後の人生又は60歳から始まる黄金の人生がせめて20年あれば締めくくりの人生としても申し分ないだろうが、10年そこそこでは物足りない。
80歳までの人生をアクティブに生きてこそ悔いのない人生となるだろう。
そして80歳まで元気で世間と交わることを目標にしなければならない。
人生の分岐点(区切り)は何歳が相応しい?
現在60歳で定年になっても、継続雇用制度を利用して同じ会社で再雇用を受け入れる人が圧倒的に多いと言われている。
この人たちは65歳までの5年間を契約社員や嘱託といった形態で働くことになるがその先は保証されていない。
60歳から65歳まで5割から7割の給与で働いて退職すれば、いくら元気であっても次の仕事を見つけることは容易ではない。
もし健康寿命が当てはまる人なら男性の場合、65歳から72歳までの7年間はどう生きたらいいのだろう。
特に60歳までであれば老化による身体能力や精神力は、5年間であっても気になるほど変化しないが、65歳からの変化を考えればよほど強靭な人でもない限り新しいことへ挑戦するような気力や体力は期待できない。
そう考えると65歳という年齢は人生の区切りや人生の分岐点としては相応しくないのではないだろうか。
60歳と65歳の差はたった5年だがされど5年だ。
人生を目いっぱい生き抜くために
60歳を区切りにする考え方はあくまで健康寿命など、日本人の平均データを基に言えることだ。
もちろん個人差はあるので一概にこれが正解とは言えないが、65歳を人生の分岐点と考えるのはどう見ても中途半端だと思えるので、やはり60歳を区切りとして人生を考え直す方が理に適っているのではないか。
再出発と言っても軌道修正には時間も掛かるだろうし、必ずそれが成功するという保証もないが、挑戦する意義も高くなれば他人に影響を与えることにも繋がり生き甲斐も生まれる。
60歳からの人生を先細りで生きるのではなく、徐々に加速しながら最後まで目いっぱい生き抜くイメージだ。
60歳で定年を迎えるが引退できない理由
これからのシニア世代が60歳で引退することも先細って行くことも出来ない理由は、2004年を境に人口が急激に減っていることにある。
既に65歳以上の高齢者が総人口に占める割合、つまり高齢化率が28%を超え30%に迫っているが、30年後は40%近くになると予測されている。
高齢者と聞いて先ず連想されるのは引退や定年退職だが、それは今の継続雇用制度に多くの人が流れて行っている状況を見ても変わりない。
統計的にも既に明らかになっている急激な人口減の影響を回避する政治的ポリシーが働き方改革なのだろうが、どうも輪郭の曖昧な打開策としか捉えられないのは私だけだろうか。
60歳定年退職が日本の未来を救う
シニア世代が戦後間もない貧しい日本を今のような経済大国に育て上げた実力は伊達ではない。
そんなシニア世代を継続雇用制度で先細りさせるのは勿体ないと思わないだろうか。
おそらくチャンスさえ与えれば、G7(主要先進7カ国)で最下位(世界21位)の労働生産性をベスト3まで押し上げる程のエネルギーを持っているのではないだろうか。
労働生産性が上がると年金の安定化や少子高齢化問題までも正常化できると考えるのは誰も同じだがそのポリシーが問題だ。
60歳過ぎたシニア世代を60歳で定年退職させてそのあとも安い賃金でとことん働かせようとするのではなく、「60歳で辞めて好きな事をして生きて下さい政府も応援します」とした方がシニア世代のエネルギーが解放されるという考え方だ。
労働生産性を上げるための働き方改革が、継続雇用制度によってポリシーミックスを不透明に濁していると考えるのは間違っているのだろうか。
継続雇用制度に乗った方がリスクが少ないのは間違いなさそうだが、真面目にサラリーマン人生を送って来たシニア世代が60歳で退職させられてもそのまま何もせずに働かない人は少ないだろう。
おそらく崖っぷちに立たされた方が闘争心を刺激され、新しい事へ挑戦する人が激増するに違いない。
健康寿命に大きく貢献する気力維持
人生に好きなことや好んでやりたいことで目標を持った人は達成するために努力を惜しまない。
もちろんその中には健康管理も含まれるが、老化と共に下降する体力や気力を維持することにも関心を示すだろう。
とにかく元気で長生きしないと目標は達成できないからだ。
60歳までの惰性で先細りしながら生きるのではなく、60歳から目標を持って挑戦するものがあるのならば気力だけでも障害を乗り切る力が必要になる。
それは正に人生に必要な活性化エネルギーと例えることができる。
この活性化エネルギーは惰性の人生では起こり得ないものなので、60歳からの新規挑戦者に贈られる付加価値といっていい。
その付加価値が健康寿命を押し上げる原動力になっても不思議ではないだろう。
まとめ
取り留めのない文章で書いてきたが、言いたいことをまとめると
・継続雇用のような先細り人生でいいのか
・60歳を分岐点にして生まれ変わることができないか
・60歳から80歳までの20年を健康な最後の人生にするには
・最後の人生を自分らしい生き方にできないか
・自分が思う人生こそが幸せなのではないか