転職で迷ったら

転職したいと迷ったら、一度立ち止まって転職リスクを考えてみることをお勧めする。
転職だけが人生の分岐点だとは思っていないが、立ち止まって考えて見ると進む道が自ずと見えてくる。
その道が転職であろうと、転職を思い留まったにしてもそこが人生の分岐点となり新しい道を進む切っ掛けにしてほしい。

1. 転職の動機
2. 転職のリスク
3. 転職理由の自己分析
4. 転職に伴う退職の条件
5. 転職で大変なこと
6. 転職だけが道ではない

1. 転職の動機
・やりたい仕事がある
・現在籍企業に将来性を感じない
・給与や待遇に不満を感じる
・人間関係に問題がある
・自分の能力に見合ったスキルの高い仕事をしたい
・UターンJターンIターンをしたい
・ヘッドハンティングを受けた
・倒産やリストラで仕方なく

これらの転職理由をもう少し細分化して具体的に書き出してみれば、自分の転職理由を不満型なのか未来型なのかに分析することができる。
不満型とは給与が少ないとか待遇が悪い、成果に見合ってないとか自分の意見が通らない、仕事がきつい、休みが少ないなどだ。
未来型とは他にどうしてもやりたい仕事があるとか、もっと自分のスキルを高めたい、自由に自分の考えを仕事に反映したいなどになる。

こうして書き出すと未来型は転職向きで不満型は転職向きではないと捉えられそうだが、決してそうではない。
一つの基準として分けただけでどちらにも転職リスクは存在する。

2. 転職のリスク
不満型のリスク
今勤めている会社に不満があって転職をして、転職先の会社でその不満は解消されたとしてもまた新しい不満ができる確率は非常に高いと言える。
例えば給料が安いといった理由で給料の高い会社に転職すると、今度は仕事がきついとか休みがない、人間関係が悪いなどの不満が発生してくる。
未来型のリスク
このようなリスクは未来型も同じだが、未来型でよく聞くのが転職したが思いとは違ったとまた次の転職に続くことが多いことだ。
典型的な未来型リスクは転職先に期待しすぎる傾向が伺えることだ。

その他にも自分の意思ではなく転職しなければならない理由として、勤めていた会社の倒産やリストラなどが挙げられる。

3. 転職理由の自己分析
このような転職理由について掘り下げて自己分析することが望ましいが、その結果転職を踏みとどまることになっても自分が決断することになるので、結果は成功とポジティブに捉えたい。
転職動機の分析では今の会社の何に不満があるのか、なぜ不満を感じるようになったのか、その理由や解決策はなかったのかなど事細かく箇条書きにしてみることだ。
転職動機分析例
・自分の出した成果に対する給与や賞与の査定が低くすぎて割に合わないと感じる。
・会社は利益を出しているが上司の査定に問題があると感じている。
・同期の社員と比較しても役職が同じなのは腑に落ちない。
・二度三度と上司に面談を申し込み理由を探るが客観的な答えは返ってこない。
・会社貢献度を他の社員と比較しても上位に入ると自負している。

転職動機分析の次は転職先希望分析をしてどんな会社に転職したいのかを明らかにしておく。
転職先希望分析
・職種や仕事の内容は現職と同じかまたは(具体的に)
・転職先会社の平均年収はいくらで自分はこの位ほしい(金額を具体的な数字で)
・給与査定基準や方法
・福利厚生も譲れないことは具体的に(例えば通勤費は全額など)

要はこの分析をすることにより、今の不満は理にかなったものなのか、改善の余地はないのかなどを見極めるために行うのと、果たして自分が望む理想の転職したい会社は存在しているのかを判断するための行為になる。

この分析の他にも重要視したいのが、今の年齢や体調、家族や家、ライフスタイルなどだ。
例えば20代の転職と30代40代、または50代では、その転職リスクは大きく違ってくる。
年代別の例
・28歳独身、賃貸住まいで全国どこでも転職可能、体調に不安なし、英語は苦手で海外はなし
・35歳既婚、子ども2人だが小さく転職は全国視野、新しい仕事にも意欲有り
・45歳既婚、子どもの大学進学目の前、持ち家でローンあり、将来両親の介護不安有り
このように20代、30代、40代の人の転職には家族への責任の度合いや、持ち家などの事情によっては通勤範囲などが限られたり体調によってできる仕事の範囲が違ってくることなども考慮する必要がある。

4. 転職に伴う退職の条件
転職するからと今まで勤めていた会社をないがしろするような行動は感心できない。
あくまで円満退社を望むのが理想だ。
中には「もう辞めるのだから何を思われようと関係ない」と、今までの不満をぶちまけて辞めていく人を見るが、そのような行動は自分の信用を失うことはあっても転職に有利なことには繋がらない。
そしてここで大事なことは、今の会社で作られた人間関係をできる限り活かした状態を保ってこそ転職後の仕事を有利に運ぶことができるのだ。
人との繋がりは自分のリソース(資源、資産)として大切にするのはどんな仕事においてもマーケティングの基礎となるだろう。
特に若くない人の転職や、同じ地域での転職は顧客が引き継がれたり元同僚と情報共有できるような環境にあれば、転職先でも力になることは間違いない。
それらのことから今の会社を退職した後も、その会社の悪口を言ったり批判することはタブーとしなければならない。

私も数回転職をした経験を持っているが、同じ地域での転職であったため、会社が変わっても多くの顧客は重複し、何度も同じ顧客から大きな契約をもらうことができた。
一度築いた自分の信用は会社が変わろうと顧客にとっては安心できることに変わりはないのだ。
また転職後に、前に在籍していた会社から直接大きな契約を頂いたことがある。
以前勤めていた会社の社長から電話を頂き、大きな契約実績に繋がったのは、どの会社を退職した時も倒産などを除けば常に円満に退職して、その後もお世話になった
ご縁を大切にしてきた結果だと感謝している。

5. 転職で大変なこと
転職で最も大変なことは新しい人間関係の構築だが、想像以上のストレスを受けることになる。
自分とは合わない天敵と言ってもいいような人格者は、どこの会社にも一人はいると思って間違いないだろうが、転職前からそう考えている方が楽に受け入れられるだろう。
転職先の会社に入社して覚えなければならないことや、そこでしかないルールに順応するなどは今までの経験はそんなに役に立たないと思っていた方がいい。
とにかく期待は禁物だ。
そうまでしてでも転職を決意するなら勇気を持って迷いを捨て行動するべきだろう。

6. 転職だけが道ではない
転職だけではなく同時に起業も検討すると答えに繋がることも考えられる。
転職ではなく起業するとなれば、そのリスクは転職とは比較できないほど高くなり、余程の根拠と自信がないと決断することはできないだろう。
もし起業するなら何が障害となるのか、また自分の強みや弱みなども分析することになるが、転職先の会社で成功しようと思うならそれに似た覚悟を持って臨むくらいな慎重さがあってもいいのではないだろうか。

どうしようもないブラックな企業なら直ぐにでも転職を勧めるが、迷う余裕があるなら一時の思いで転職せず、思い留まって起業の目標に向かって今の会社でスキルアップすることも一つの選択肢になるだろう。

どちらにせよ人生に楽な道は存在しないのだから。