定年後の趣味に音楽づくりを提案!

Bruno /GermanyによるPixabayからの画像

パソコンで音楽が作れるって知ってましたか?

単に音楽作成趣味と言ってもピアノやギターを使って作曲したり、パソコンを使った打ち込み作業で音楽を作る方法などがある。
今回はDTMとかDAWと言われるパソコンを使った音楽趣味の入口を紹介する。
若い頃音楽をしていた人が定年後にもう一度音楽に触れたいと考える人も多いが、そんな人に挑戦してほしいのがDTMやDAWと言われる音楽趣味だ。

DTMやDAWとは?

DTMとはデスクトップミュージックの略で机の上のパソコンだけで作られる音楽を意味しているが、MIDIを使って電子楽器とパソコンを接続し演奏した音楽なども含まれる。
DAWはデジタルオーディオワークステーションのことでパソコンで音楽を作るソフトウェアのことだ。
DTMは広い範囲のパソコンを使った音楽でDAWはDTMの中のひとつと言ってもいいだろう。

昔(20~30年前)に比べこのDAWソフト(音楽制作ソフト)も進化し価格も比較にならないほど安くなっている。

DAWソフトで何ができる?

・デジタルで音楽を録音できる
パソコンから流れてくる音は全てこのソフトで録音することができる。
・デジタル音楽を編集できる
デジタル音楽や音を切り取ったりコピーして貼りつけたりして編集ができる。
・打ち込みで音楽制作できる
デジタルで作られたあらゆる楽器(ピアノやギター、ドラムや管楽器など)の音を使って音楽を作ることができる。
・ミキシングすることができる。
歌やギターなどの楽器をそれぞれパートごとに録音してミキシングすることができる。
・マスタリングできる
作成した音楽要素を最終的に調整して市販されているCD音源のように仕上げることができる。

DAWソフトは何もないところからあらゆる楽器や音を使って音楽製作をすることができるものだ。

楽器が弾けなくても問題はない。
本来なら数千万円以上もする機材が揃ったスタジオで歌や楽器を演奏して作る音楽を、パソコンの中で作り上げていくことができる。
歌や楽器の音をミックスするミキサーや音そのものに余韻を付けるリバーブ、音圧を上げるコンプレッサー、イコライザーやエンハンサーなど様々なエフェクターもソフト内に収まっている。

DAWソフトによって出来ることに差はあるが、初めてなら1万円代のソフトで充分だ。
1万円代と言っても使い方はそう簡単ではない。
無料のDAWソフトもあるが、もしのめり込んでしまう可能性を考えればバージョンアップできるシェア率の高いメーカーの商品がお勧めだ。

DAWで音楽製作するために必要なもの

・パソコン
初めてDAWを使って音楽製作するのならパソコンを買い替える必要はないだろうが、あまり古いパソコンでは支障をきたす場合もある。
ハードディスクも動画編集ほどの容量はいらないだろうが、必要に応じて外付けを買い足せばいい。
録音を扱うDAWの場合でも最初から高価なSSDを買う必要はない。
スタジオのように防音対策のとられた部屋ではなく自宅でDAWを楽しむなら、パソコンやエアコンの音は想定内とするべきだ。

・DAWソフト
最初は安くレベルアップに応じてバージョンアップできる商品がいい。
ドイツのスタインバーグ(現在はヤマハの子会社)が音楽制作アプリケーションとして開発したCubase(キューベース)がお勧めだ。
Cubase Elements10.5 (13,200円)その上のCubase Artist10.5 最上級のCubase Pro10.5(62,700円)とシリーズ化されているが、最初はCubase Elements10.5 (13,200円)が望ましいだろう。

・オーディオインターフェイス
マイクやギター、ヘッドホンやスピーカーなどアナログ機材をパソコンと繋ぐ役目を果たすものだ。
やはり音楽制作という以上、オーディオインターフェイスだけは外せないところだ。
オーディオインターフェイスも数千円から10万円を超えるものまで多くの商品が発売されているが、歌の録音、生ギターの録音、良質のリバーブを掛けたいなど目的に合わせて選ぶといいだろう。


・スピーカー、ヘッドホン
音楽製作なのでアウトプットの音は神経質になりたい。
オーディオインターフェイスと接続することになるが、音の分離がハッキリした性能を持つモニター用スピーカーかヘッドホンが好ましい。
スピーカーもステレオマニアでもない限りアンプ内蔵型でいいだろう。


・マイク
歌や生楽器を録音するならマイクは必須だ。
YouTubeなどを見ていると高価なコンデンサーマイクを使っている人も多いが、宅録(自宅で録音)するなら最初は指向性の狭いダイナミックマイクがお勧めだ。
エアコンなどの生活音や、マウスから出るクリック音などを編集段階で消すのは初心者には難しいからだ。
指向性が広く感度が良すぎるコンデンサーマイクは宅録には向いていない。

※左が指向性の高いダイナミックマイク右が安価なコンデンサーマイク


・MIDIキーボード
必ず必要という訳ではないが、ピアノが弾ける人などにはリアルタイムで打ち込みが出来ることから有れば便利だ。
MIDI端子が付いているシンセなどの電子鍵盤楽器を持っていれば、打ち込み専用のMIDIキーボードでなくても代用できる。

DAW趣味はこんな人に向いている

インドア趣味で比較するのには無理があるが、釣りやゴルフに比べ導入段階は比較的安価な趣味だと言える。

机に向かってコツコツ作業するのが好きな人や、ボタンが多い機械いじりの好きな人などが向いていそうだ。
どちらかと言うと職人的で攻略に燃えるゲーム好きな人にもお勧めできる。
もちろん音楽に興味を持っていることが前提だ。

歌や楽器が上手くなりたい人は勿論、こだわった動画を作りたい人にもお勧めだ。
例えばYouTube動画のためにオリジナルのサウンドロゴ(企業名などをアピールするために、定形的に再生される短い音源)やジングル(番組の節目に挿入される短い音楽などの総称)を作ったり、BGMもオリジナル曲を使いたい人などだ。

DAWに必要な知識

・パソコンの知識
プログラミングのような高度な知識ではなく、普段使っている一般的なパソコン知識とネット検索して調べる知識があれば何とかなる。

・音楽の知識
音楽の知識といっても幅が広いため最初から高度な知識は必要ない。
作曲をして編曲しようとするならコード進行やリズムの知識なども必要になるが、その都度調べて勉強するつもりなら問題ない。

・楽器の知識
パソコンで作るとは言え本物の楽器の音に近づけたいなら楽器の特徴や音域などの知識も役に立つ。
特にドラムパートを作成する場合はドラム奏法の知識が必要だ。

しかしピアノやスチールギター、アコーディオンだけで歌の伴奏を作るなら楽器の知識はさほど必要ない。

・PA(Public Address)とレコーディング知識
PAとは放送機器や音響機材のことで、これらの機械操作を覚えるのは簡単ではない。
しかし音を加工し、音色を作り込んで臨場感を増していく作業こそがDAWの醍醐味だ。
知識だけではなく経験がものをいう職人的技術と言ってもいいが、DAW趣味の最も楽しい要素でもある。
音響機械操作の知識と音作りのためのレコーディング知識は奥が深くこれが正解と言うことがない分、遣り甲斐も感じるところだろう。

Cubaseを使ってヘンデルのオンブラマイフを打ち込んでみた。

DAW趣味に年齢性別は関係ない

昔はオタク趣味のような印象があったDTMだが、今は音楽好きな若い人を中心にDAWを楽しむ人が増えている。
以前は断然といっていいほど男性の趣味だったが、今では女性にも多く楽しまれているようだ。
最近は歌を趣味にしている女性も多く、DAWもどちらかと言えば女性向だと思えるほどだ。

60歳過ぎてから始める趣味としては敷居が高いような印象を受けるが、DAW趣味に年齢や性別はさほど問題ではない。
ものづくりの楽しさや、音楽を作るというクリエイティブ感がDAWの魅力だ。

DAWを使えばオーケストラ伴奏で歌ったオリジナル曲をCDに焼くこともひとりで出来てしまうのだ。

若い頃音楽に触れた経験のある人にとっては、DAW趣味が感情を刺激するのに充分だ。
今でも音楽に興味があるなら定年後の趣味にお勧めしたい。