大人になってからの楽器、上達を阻むリズム感

大人になってから歌や楽器を始める人のために早く上達するためのポイントを紹介しよう。
歌や楽器に限らず時間を掛けて練習しても、「上達したっ」と実感できなければ楽しくなくなるはずだ。
もちろん継続しなければ上達は無いが、継続するためにも少しずつ上達していると実感できていなければならない。

1. 大人になってからの楽器、上達のコツ
2. 大人になってから楽器の上達を阻むリズム感

1. 大人になってからの楽器、上達のコツ
・練習時間
練習は最低でも毎日30分は必要だが、出来れば1時間以上が望ましい。
しかしそれ以上になると集中力が続かず、ダラダラと練習することになって時間の無駄になってしまうことが多い。
理想は毎日、同じ時間に、同じ場所で練習して日課にしてしまうことだ。
とにかくその時間は練習に集中し、他のことは考えないようにする。
練習せずに上達することはあり得ないが、練習に時間を費やせば必ず上達するといったものでもないことは確かなようだ。

・教室い通う
教室に通えるなら月謝を払ってでも教えて頂く方が早道になるが、週に一度1時間レッスンを受けるだけで上達は望めない。
教室では知識や練習方法を教えて頂いたり間違っていないかを確認するだけで、上達には繋がらない。
あくまで家で行う毎日の練習が上達に結びつくが、廻り道をしたくないなら教室に通うことがお勧めだ。

・独学
独学するなら自分でテキストを探し、カリキュラムを組む必要があるが、注意しなければならないのは自分に合ったカリキュラムとテキストを探すことだ。
ここで往々にしてやりがちな失敗は、必要以上に高い目標を設定し、実力以上のテキストを購入してしまうことだ。
やり始めはモチベーションこそ最高潮になっているが、やり方を間違えれば挫けて諦めるのは目に見えている。
せっかく楽器を買ったのに3ヶ月もしないうちに見向きもしなくなったと言ったことはよくあることだ。

・基礎練習
基礎練習を飛ばして上達することなどありえない。
しっかりとしたした基礎の上にこそ上達があると思った方がいいが、基礎の中にも基礎の基礎がある。
最初の基礎を飛ばしていきなり中級の基礎をしてしまうことも、独学者がよくやる失敗の一つだ。
例えばピアノならハノンやバーナムをいきなり始めたり、ドラムならルーディメンツをいきなり始めてしまって、腱鞘炎で苦しむことになる人も多い。
先ずはピアノなら座る姿勢や体重の掛け方、指の動きを片手ずつ確認するところからになるだろうし、ドラムも椅子の高さやスティックの握り方に始まってシングルストロークの手や指の動きを確認するところからになるだろう。
特に60歳以上から始める場合は、この初歩的なことを安易に考えると腱鞘炎などのケガに繋がってくるので、その意味ではスポーツと何ら変わりない。

・楽器練習で必要な道具(ガジェット)
全ての楽器練習で必須となる道具はメトロノームだ。
楽器を練習する上で、楽器以外にこれほど重要なものは他にないだろうが、このメトロノームも忘れられていることが多い。
ピアノやドラムの練習でメトロノームが使われているところはよく目にするが、管楽器やギターなどの練習風景の中にメトロノームを見ることは少ない。
特に管楽器のような単音楽器は音程ばかりに意識が集中し、リズムは疎かにされることが多いからだろう。
しかし楽器が上手く聴こえる要素で最も重要なのが、リズムの切れや正確性だということを理解してほしい。
どの楽器を練習するにしても必ず側にメトロノームを置いて、リズムを意識しながら練習することが望ましいのだ。

2. 大人になってから楽器の上達を阻むリズム感
歳を重ねるにつれて、あらゆる感覚が落ちてきたと実感している人も多いのではないだろうか。
歳をとってから楽器を始めようと挑戦している人も多いが、上達が実感できないのを感覚の衰えを理由にしようとしていないだろうか。
しかしあらゆる感覚は訓練によって磨かれるので諦めないことだ。

ある程度基礎の基礎もできて次の段階に進んだ時スランプがやってくることがある。
気付いていない人も多いが、上達を阻む原因になっている感覚の一つにリズム感がある。
管楽器などの単音楽器を練習している人はロングトーンなど、音程や音を作ることに多くの基礎訓練の時間を使っているだろうし、ピアノの場合は鍵盤タッチなど早い段階から感情表現に注意を注がれたりする。
しかし上手くに聞こえる演奏の基準は音程(ピッチ感)や表現力だけではない。
上手く聴こえる最も重要な要素の一つであるリズム感が楽器の練習で一番忘れられているのではないだろうか。

ドラムのトレーニングで使われるチェンジアップ、チェンジダウンの応用
ドラムのトレーニングでリズム感を養う最も効果的な訓練がチェンジアップ、チェンジダウンだ。
他の楽器にもこれと似たテキストもあるだろうが、その重要性について認識されていないのか私が知らないだけなのかあまり見たことがないのでここで紹介したい。

チェンジアップの例

チェンジダウンの例


この譜面のアクセントはリズムを意識するためのものなので1拍ずつメトロノームの音にシンクロさせることを最大の目標にしてほしい。
そしてテンポを♩=60から徐々に上げていき♩=120くらいを目標にトレーニングし、できるようになれば音を増やしたり音程の間隔を離すことで更に効果を期待することができる。
このトレーニングの最終目標はアクセントを取ってもリズムを見失わないようにすることだ。

チェンジアップ、チェンジダウンのトレーニングで特に効果が表れるのは、一曲の中で音符が小さくなったら早くなる人や、リズムが揺れる人、結構演奏できるようになったのに何か違和感を抱いたり物足りないと感じる人などだ。