定年退職後の農業

定年退職して農業を選ぶ人に

田舎暮らしをしている私の周りには、定年退職後に農業に専念している人が多くいらっしゃるので、これから退職して農業に専念しようと思っている人向けの情報を拾ってみた。
元々兼業農家で育ったとか実家が田舎にあるといった人も多いだろうが、都市部で生まれ育って農業の経験はまったくないが、興味があるので定年後の第二の人生で田舎暮らしをしてみたいと思われる人も少なくないだろう。

定年退職後農業を選ぶメリット

目次

1. 対人ストレスからの解放

2. 居場所の確保

3. 儲かる農業をすることも可能

4. 耕作地は無料で借りることができる

5. 農業の種類とメリット、デメリット

1. 対人ストレスからの解放

人生のほとんどをサラリーマンで生きてきた人なら、「もうこの辺でストレスからは解放されたい」と思うはずだ。
この対人ストレスから解放されるのが、第二の人生で農業を選択する最大のメリットだと言える。
作物や土、天気など自然と直接触れ合うことになるので、生きている実感を味わえると仰る方も多い。
そこには上司に気を使ったり、顧客に頭を下げたり、自分の思うように行動できないといった矛盾も存在しないからのびのびと生活することができるだろう。

2. 居場所の確保

農業を始めると耕作地の管理をすることになり、特に夏場は草刈りなどで忙しく家にいる暇もないほどいくらでもしなければならないことができてくる。
退職してやることもなく家にも居場所がないとは絶対になることはない。
中には耕作地の片隅に簡単な小屋を建て、毎日出勤するかのように出向いて日々を過ごしている人もいる。

3. 儲かる農業をすることも可能

販売経路を決め作物の出荷量を増やしたり、コストダウンを図るなどして組織化をすれば儲かる農業にも繋げることができる。
私の住んでいる近くでも生産者組合を立ち上げ特産品を多く栽培している人たちや、農業を法人化して国の農業研修生制度を利用し、人件費などもコストダウンを図って儲かる農業をしている人もいる。

4. 耕作地は無料で借りることができる

私の住んでいる地域でも例外ではないが、農業従事者の高齢化で農地が余り、耕作者が足りていないのが現状で、農地の地権者は草刈りなどの管理ができずに困っている。
そこで管理して頂けるならと農地を無料で貸している人が多く、更に空き家が年々増加し、農地と同じく安価で借りることができる物件も多く存在する。

5. 農業の種類とメリット、デメリット


農業の種類は畜産を別として大きく分ければ、稲作農家に野菜農家、果樹農家や花卉農家などがある。
稲作は農業の中でも一番簡単で単純な部類だが、春と秋が農繁期でその他の季節の仕事が少なく第二の人生に取り組むには面白味に欠けると思われる。
農機具はトラクターや田植え機、稲刈り機や雑穀機などが必要になり、新しく始めるには初期投資が多く掛かり、しかもそれらの農機具は高額な上、稼働率は極端に悪く規模を大きくしないと割に合わなくなっている。

稲作に比べ野菜栽培は趣味程度から始められ、耕作地も状況に合わせ徐々に増やしたり野菜の種類も季節に応じて選ぶことが可能なので第二の人生から新たに始めるには適している。
しかし販売目的で生産しようとする場合は稲作のように単純ではない。
手間暇も掛かり野菜の病気や天気には細心の注意が必要となるだろうが、そこが野菜栽培の醍醐味とも言える。
冬のこの時期なら冬野菜の葱(ネギ)などが収穫の最盛期になっているが、真夏の暑い時期に苗を植え、真冬の寒い時期が最も忙しい季節になるので作業は大変と言わざるを得ない。
そのように野菜栽培は野菜品種を選ぶところからがスタートになるので、野菜に関する多くの予備知識を早くから習得しておかないとすぐに始めることはできない。
野菜は栽培するだけでなく、黒ニンニクやイチゴジャムのように加工して付加価値を高めることもできるので、アイデア次第ではまだまだ新商品の開発余地は大きいだろう。

昨今の食へのこざわりなどを考慮しても野菜栽培の未来は明るいと言え、第二の人生で取り組む価値も高いと思える。

果樹栽培は新規で始めて最初の年から収穫できるものはないので、現在存在する果樹園を借りるか譲り受けて引き継ぐのがベストになるだろう。
過疎地にある果樹園も高齢化により後継者がいない場合が多いのは容易く想像できる。
過疎化の進んだ地域では移住者の受け入れ対策もされているだろうから、少し調べれば気候も良く住み易い田舎暮らしができる地域が絞れてくる。
ただ定年退職後の移住となれば高齢になってからの不便な生活リスクと収穫や出荷の重労働のことも頭に入れておかなければならない。
それらのリスク回避に問題がないのなら、この選択は第二の人生が夢のように送れる可能性を秘めている。

花卉農業はハウス栽培が多く、定年後に始めるには初期投資も大きくリスクが高いためお勧めできるものでない。
花卉と言われるものには、観葉植物や盆栽、生け花などの観賞用植物があるが、栽培技術や知識も簡単に身につくものではない。
花卉栽培は全てが販売目的となり、新規で販売ルートを確保するのも昨今の花全体の売り上げが低迷していることを考えれば難しくなることが予測できる。

どの種の農業であれ定年退職後に新規で農業を始めようとするなら、これらのことを勘案して準備と計画を立てなければならないだろう。
都道府県新規就農相談センター もあるので、相談すれば研修先なども紹介を受けることができる。

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