緊急事態宣言の行方は?

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緊急事態宣言の効果で乗り切ることができる?

新型コロナウイルスは人の体を蝕むばかりではなく、世界の経済をも破壊するのではないかとさえ思えてきた。
中小企業で成り立っている日本経済は、今危機的状況に陥ろうとしている。
日本の経済危機はまだ始まったばかりだが、政府の「新型コロナウイルス感染症に関する対応策」に全面的に期待していると間に合わなくなりそうだ。

世界でも日本の考え方は異質

アメリカをはじめ多くの感染者を出している国は、この新型コロナウイルスの被害を「戦争と同じだ」といった認識で対策に動いている。
しかし日本政府の対応に温度差を感じるのは、まったく焦りがないことだ。
慎重と言えば聞こえはいいが、多くの人は違和感を覚えているのではないだろうか。

もし戦争と同じように考えるなら日本政府は「緊急事態宣言は出したが今のところは個人の力で逃げて下さい。私たちは少し様子を伺ってから対策を考えますから」と言っているように聞こえる。
「いや敵(新型コロナウイルス)はそこまで攻めてきていいるので何とかして下さい」と言っても、「まあまあ落ち着いて下さい。我々国会議員には影響が及んでいませんから」と聞こえてしまったのは私だけなのか。

しかし10万人以上の感染者を出しているアメリカ、スペイン、イタリア、ドイツに比べ、中国の隣国でありながら5,000人程度の感染者数で収まっているのは人口比率から考えても頑張っている方なのだろう。
但し公開されている数字が本当ならという条件付きだ。

このような数字は「検査数が少ないのが要因だ」と考えている人もいるが、例えそうであったとして隠すことができないであろう日本の死者数と致死率(韓国の致死率1.96%)から逆算しても桁外れのような違いを見ることはできないと思っていた。

ところが肺炎で亡くなる患者の中には感染の疑いがあっても検査しないまま処理をされ、感染者数にも数えられていない人が少なくないと明かす方がいる。
どうも政府の要請を受けて保健所で検査数が調整されているように思えてならない。
これでは中国とさほど変わらない。
私たちは今、何が真実で何が嘘なのかを見極めなければならない状況にある。

臨時閣議で決定された108兆円も、1世帯当たり2枚配布される「アベノマスク」もパフォーマンス要素ばかりが強調された感が強い。
30万円給付の線引きも、保健所の検査対象の線引きと同じように申請現場で矛盾が出ることは明らかだ。

弱い立場の人から影響のしわ寄せが

新型コロナウイルスの影響で失業率が上がるとすれば、最も早くその影響を受けると考えなければならないのが非正規社員だろう。
アルバイト、パートタイマー、派遣社員は非正規だが、雇用延長中の契約社員もまた非正規に違いない。

業種によっても影響を受ける時期が異なるだろうが、今はまだ影響が少ないように見える製造業や建設業もこのままで済むとは到底思えない状況だ。
体力のない中小企業が生き残りを掛けてリストラに踏み切るとすれば、60歳以上の非正規社員は最も分が悪い。

日本の中小企業率を企業数で表すと99.7%が中小企業で、従業員数に於いても70%は中小企業が占めている。
この中小企業の多さが「主要先進国の中で日本の労働生産性がワーストワンになる大きな要因」だとも言われているくらいだ。

これまで日本の経済を底力で支えてきたのも中小企業であれば、今回のような予期せぬ異変に弱いのも日本の中小企業だ。
地震と同じように今は大丈夫と思われても後に来る津波の警戒を怠らないように、直ぐにでも対策を講じておかなければその波に呑み込まれる危険性が高いのが製造業や建設業だろう。
今の観光業や外食産業、接待業の苦しみは明日の製造業や建設業だと認識するべきだ。

非正規で働いている人は「もしもの時」に備え、とれる対策を考えておくのが賢明だろう。
危機感を持って質素倹約し、何が起ころうと生きていくための準備をするのが望ましいのは、その時は突然やってくるからだ。

東京だけが日本ではない

今メディアでは東京都と日本政府の温度差ばかりに注目が集まっているが、日本は東京都だけで成り立っている訳ではない。
東京都の人口が日本の1割程度なのにも関わらず、東京都だけに補償を伴った休業要請を出すのは如何なものだろう。
特に緊急事態宣言を出したのなら、せめてその7都道府県だけでも同じ対応にしなければ緊急事態の意味すら薄れて見える。


それに田舎だから新型コロナウイルスの影響がないと考えるのはあまりに楽観的過ぎるが、既に休校などの影響で祖父母である高齢者の負担が大きくなっているのも現実だ。
共働きの家庭では平日に子どもの面倒を見ることができない家庭が圧倒的に多いからだが、都市部に比べテレワークができない職種で働いている人の比率が高いのも要因のひとつだ。

感染経路が追えない今となっては感染者が出ていない地域に於いても、PCR検査の漏れで表面化していない潜在的感染者が潜んでいる確率は少なくないと感じる。
感染リスクが高まっているのは都市部に限定された話しではないと自覚しなくてはならない。

今は日本政府の思惑通りこの2週間で収束の目途が見えてくることを願うばかりだ。