50代からやっておくべき定年準備

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50代やることは多いが手を抜けない定年退職準備

50代と言えば会社では責任が一番重く、ストレスも半端なく大きくなる年頃だ。
家庭でも子どもが大学進学を迎え、子育ても最終段階でお金を一番多く必要となる時期ではないだろうか。
そんな人生でも最も忙しい年代と知りながらやってほしい準備がある。
それが定年退職後の準備だ。

50代は忙しくて将来のことなど考える暇もない

「そんな忙しい時に定年退職後のことなど考えている暇はない」と大半の人は言うだろう。
実際私も例外ではなかった。
頭の中は仕事のことで一杯になり、家に帰ると子どものことで悩まされることも多く、どこにも自分のことを考える余裕などなかった。
更に同居していた母親が認知症になり家でもストレスが溜まっていた。

しかし冷静に振り返ってみるとまったくそんな余裕がなかった訳ではない。
今となっては唯の言い訳に過ぎないと感じている。

特に私の場合は晩酌などしないし、通勤時間も片道15分だったので将来のことを考える時間くらいは融通できたはずなのだ。
しかし心穏やかに過ごせる日はとにかく頭も体も休めてまったり過ごすことを優先していた。

50代は老後を左右する重要な年代

将来のことなど何も考えなくても何もしなくても、50代という10年は想像以上に早く過ぎていく。
60歳で定年退職するにしても65歳まで継続雇用を受け入れるにせよ、必ずその時はやって来る。
その時になって考えても準備ができていなければ軌道修正するのに時間と不安が大きく圧し掛かることを伝えたい。

定年退職してから最後の人生を自分の思うように生きたいと思うなら早くから準備をすることだ。
やりたいことがあるならそのやりたいことのために準備をしておくのと、定年退職を迎えてから準備するのとではスムーズに軌道修正できるかどうかに差が生じる。

一つのことを軌道に乗せるのにはそれなりに時間が必要だが、働いて所得を得ている時と退職して無収入になってからとでは心の余裕に大きな差があると言いたいのだ。
一生暮らせるほど退職金を頂ける人や、定年退職後は何もせず隠居生活をする人にはそこまでする必要もないかもしれないが、将来老化する体に鞭打っても働かないと生活ができないと心配する人や定年退職後は違った人生を送ってみたいと考えているならこの忠告に耳を傾けておく方が身のためだろう。

50歳になれば真剣に思い描いて見る定年退職後の人生

さてそれでは実際考えて見よう。
準備さえできていれば何も60歳の定年後に、継続雇用を受け入れて安い給与で働くことを選ばなくてもいいのではないか。

60歳の時点で準備ができていなければ、継続雇用で働きながら準備をすることも悪くはないが、60歳過ぎてからの1年は体力気力の低下も大きいので早いに越したことはないというだけだ。

収入のことだけを言っている訳ではないが収入も含めて思い描いてみるといい。
年金が満額頂けるのは65歳なので、継続雇用で60歳からの5年間を埋めると考えるのは収入を中心にした一般的生活基盤のことだ。

生活をするために働き生活基盤のことだけを考えるのであれば、例え収入が落ちようと定年から継続雇用でその後年金に頼ってもスムーズに転換はできるだろう。

だが65歳や70歳で人生が終わる訳でもなく人生100年と言われる時代に、定年退職後の長い年月を惰性で生きるのではなくやりたいことを見つけて最後のチャンスにしようという提案だ。

そのやりたいことを考えることも含めて50代に準備することだ。

若い頃描いた夢をもう一度考える

若い頃思い描いていた夢をもう一度考え直すことも悪くはない。
例えば「世界一周をしたい」「画家になりたい」「写真家になりたい」「漫画家になりたい」「起業したい」「釣り人になりたい」など何でもいいが、普通なら60歳過ぎてから叶う夢ではないと思えることでも50歳から10年スキルアップに時間を掛けて準備することができるなら可能性は高まる。

少し極端な例かもしれないが、諦めていた夢を叶える最後のチャンスだと言えないだろうか。
「画家になりたい」といった夢もお金を稼ぐ目的ではなく、定年退職後に好きな絵を描きながら暮らすためには今何を準備しておかなければならないか考えることだ。
生活基盤ができていないと叶えることができないなら、先ずは生活基盤をどうするのがいいのか考えることが準備になる。

50歳の今から贅沢は極力控えて60歳からの生活基盤を作るために貯蓄するのも準備の一つだろう。
夢を叶えるためのしっかりした目標があるからこそできることも多いのではないだろうか。

軌道修正に掛かる時間は決して短くない

定年退職後やりたいことにもよるが軌道修正には時間が必要だと考えておいた方がいい。
例えば定年退職後に田舎に移住して夫婦で小さなゲストハウスをしたいと考え、退職金や今住んでいるマンションを売却してその資金は作れたとしても開業した月から黒字経営できる保障などどこにもない。

経営が安定するのには時間を要するが、その目安になる時間スパンは3年が基準だと言っている人もいるくらいだ。
その3年は谷を歩く時間と考えるなら、50歳からゲストハウス経営に係るスキルを高める準備をすることでその3年が1年で済み、苦しい谷底を歩く期間を短くすることができる。

60歳定年を迎えてから深い谷に入るのでは途中で挫ける可能性も高く、谷底を歩く期間も短いに越したことはない。
しかし60歳からの谷を少しでも埋めるためと考えるより、60歳からの夢を実現させるために50歳から準備をすると考える方がいいだろう。
50歳からの準備は、60歳からの夢の人生に向けて軌道修正をよりスムーズにするためなのだ。

50歳からの準備は夢を見極めるためでもある

やりたいことに強いこだわりがあればそれは占めたものだが、何もやることが見つからない人にはやりたいことを探す時間にしてほしい。

中途半端にあれもこれもやってみたいと迷っている人や、やってみたいことはあるが継続する自信がない人はこの期間に試して方向性を決めておけばそれも立派な準備となるだろう。
分岐点の60歳になった時点でやってみたいことや方向性が決まっているのは何よりも重要なことだからだ。

定年退職してからゆっくりやってみたいことを探すのも悪いわけではないが、先ほどからも書いてきた通り軌道修正には時間が必要で準備期間がネックになることも多い。
60歳の時点で年金の受給もなく無収入で準備をする不安は決して小さくなと伝えたいのだ。

私の知る人の中にも銀行に勤めながら宅建資格を取得し、60歳になるのを待たず早期退職して不動産屋を立ち上げて成功している人もいる。
今70歳を過ぎても生き生きと仕事に励んでおられる姿を見て、参考にしたい人の一人になっている

60歳の時点で人生の目標が定まっていることに深い意義を感じるが、自分にはそれができなかったからこそまだ50代の人に「今ならまだ間に合いますよ」と伝えたいのだ。

定年退職後も同じ生活レベルを保ちたいなら

人生をサラリーマン一筋で生きてきた人は、自営業の人に比べ収入が安定しない生活に対する危機意識が低いのは当然だ。
そんな不安を抱えて人生を送りたくないからサラリーマンを続けてきたと言っても間違ってはいないだろう。

しかしそんな安定した人生も定年退職で終わりを迎えると考えなければならない。
確かに65歳になれば年金に頼ることもできるが、年金だけでは今までのように贅沢はできないということは誰もが分かっている。

今までと同じ生活レベルを保とうとするなら年金プラスアルファが必要だということは誰もが感じていることだ。
中には平均寿命を基準にして貯蓄を切り崩して今までと同じ生活を保っているが、予想外に長生きをすると老後資金が足らないと気にしている人もいるほどだ。

そんな人こそ50歳からプラスアルファを稼ぐ準備をするのが好ましい。
若い人が副業するのとは違い、年金という最低限の収入は確保できていることを前提に考えることだ。

何を伝えたいのか言えば、お金目的の副業ではなくあくまで人生を楽しむために必要な副業を模索してほしい。
やりたいことにお金を必要としないならほんの少しお金が入るだけでも生活は潤うだろうし、もしやりたい夢が「世界の名峰を制覇したい」といった目標ならその資金を得るための準備としてほしい。

若い人のブログを拝見すると、「年収1億円を超える目標を達成するには」といったようなとてつもない人生観を持っている人もいるが、60歳過ぎてからは使うこともできないお金を儲ける目標は意味がない。
幸福感と年収が比例していないのはこの歳になる人は分かっているからだ。
「お金はどれだけ沢山あっても邪魔にはならない」と言う人もいるが実際は邪魔になった人も多く存在することは明らかだ。

持っていない者の僻みに聞こえるだろうが、お金と時間の価値は使い方で決まることも人生経験の深い人なら共感頂けるだろう。