お金の価値が根底から覆される時代がやってくる!

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60歳過ぎてキャッシュレス化に付いていけるか?

消費税増税に伴って政府が推し進めるキャッシュレス化の本当の狙いはどこにあるのだろう。
決済の利便性などは建て前であって裏に隠された本音を知りたいところだ。

なぜキャッシュレスにする必要がある?

「えっ!今も財布を持っているって!何のために?」といった会話が聞こえてくるのもそう先の話しではなさそうだ。

昨年カンボジアに行く途中にトランジットで立ち寄った中国広州白雲国際空港の免税店で、飲み物を買おうと10ドル札(米$新札)をレジの女性店員に渡すと、私の目の前で照明に何度も透かして確認されたことを思い出す。
「これ本物?偽札じゃないの?貧乏臭い日本人が信用できないわ」と聞こえてきそうなほどだったので、内心腹立たしさを超えて笑ってしまったほどだ。
私がどれほど貧乏臭いと言うより、世界的に現金が信用されていない証しとしたほうがこの行動が理解できる。

日本で現金をこれほど疑われることはないが、世界の国で現金の信頼性が失われているのが見えた気がした。
10月からの消費税増税に絡めてキャッシュレス化を進めている政府の目的は、決済の利便性や効率性、来年開催される東京オリンピック・パラリンピックに訪れる外国人の支払い手段に配慮するためなどと言っているが、本音は増え続ける外国人が運んでくる現金に対応しきれないことに加え確実に税金を取り立てることではないかと思えてしまう。

現在日本のキャッシュレス決済比率は20%もないが、アジアの中でも韓国中国インドより遥かに遅れている。
外国人旅行者から頂く現金が本物か偽物かを見分ける自信など、おそらく誰も持ち合わせてはいないだろう。

カード支払いはお得感がいっぱい

現金以外の支払い手段は、クレジットカードや商業用カード、交通系カードやスマホ決済にデビットカードなどがある。
これらのキャッシュレスを利用している人の動機は一番にポイントが貯まるからでその次がスムーズに支払いができるからと言った理由だ。
その他にも現金以外で決済できる場所が増えたとか、現金を引き出すのに手数料がかかるなどの理由もある。

段々と現金を使うことが不利になり現金以外を使うメリットばかりが増えているのが実情だ。
クレジットカードは種類も多く、使うだけでいつの間にか何千円分もポイントが貯まっているものもあり得した気分も半端ない。
最近よく聞く○○ペイはスマホ決済のことだが、新規顧客の囲い込みで過剰とも思えるサービス競争が繰り広げられたところだ。

クレジットカードを持つリスク

どれだけお得だとはいえそのリスクは現金より大きい。
現金の場合は落としたり無くしてもそのとき持ち歩いていた額以上の損失はないが、もしクレジットカードで不正利用されたとしたら財布を落としたくらいの金額では到底間に合わないほどの額だ。
口座に入金されている金額に合わせ信用供与額まで含めると知らない間に大きなお金を失うことになってしまう。

利便性ばかりが取り沙汰されているが、その扱いや管理には相当の注意が必要だ。

それなのにクレジットカードが一枚では決済できないことも多くある。
クレジットカードにはVISA(ビザ)やMasterCard(マスターカード)、JCB(ジェイシービー)など種類があり、どこでも全てが使えるとは限らない。

そのためにクレジットカードが2枚3枚と増えて行き、お金が目に見えないことで使い過ぎる傾向にある。
クレジットカード決済の場合は、カード決済日と引き落とし日に1ヶ月以上の誤差が生じるため使ったことも忘れて使用明細を見て驚くことも少なくない。

パスワード管理は簡単ではない

高齢者のクレジット詐欺被害も増えているのでカードを持ちたくない気持ちもよく分かる。
それに支払い明細を見るにもスマホを持っていない人は、いちいちパソコンを開いてログインしたり面倒この上ない。
スマホやパソコンを使えない人にはキャッシュレスは無理だと言われているようなものだ。

この前ネットで商品を買おうとしたら持っているカード(VISAとMasterCard)が使えなくて振り込み決済を選択したのだが、振り込み手数料の発生しないのがネット銀行だけだった。
たまたま口座をもっていたので振り込みをしようとしたら、先ずその銀行口座にログインしなくてはならないので、ログインパスワードを入力し、振り込み先情報を入力、その後金額に誤りがないか確認して今度は取引パスワードを入力して振り込みとなるのだが、どうしても取引パスワードが認証されない。

滅多に使わない口座なのでパスワードが間違っているのか疑ったが変更した記録も見当たらないので間違いはなさそうだ。
8桁と長いパスワードのせいで確実に入力していないのか疑ったが、原因はスマート認証だと数十分後に気が付いた。

本人確認のためスマホのアプリからログインロックを解除して30秒以内に取引パスワードを入力しなければならないが、こんなことは高齢になってからとてもできないだろうと思えてならない。

私のようにこの年代にしては早い時期からパソコンやスマホを使っていた者でも度々のパスワード変更やIDの変更などに手間取ったり管理には往生しているが、高齢者とまではいかなくてもPCやスマホに慣れていない高年齢者がキャッシュレスに移行することは考えられない。

キャッシュレス化で変わること

既にレジに人がいなくなったりしているが、キャッシュレス化が進み更に現場から人がいらなくなるから人手不足なのに失業率が上がるといった矛盾した労働状況が広がると予想される。
銀行に行く必要も減り最近の銀行では今まであった銀行名の書かれた看板まで外され店舗数も減らしているのが現状だ。

そのうちお釣りに使う貨幣も少なくなり、現金お断りの商店が増えてくるだろう。
流通している貨幣の信頼性が疑われるようになりタンス貯金が減ってくるのも間違いない。

クレジットカードやスマホ決済が主流になり、犯罪も高度化してセキュリティーも更に複雑になるからお金を持っているのに使えないようなトラブルが増えてくる。
学校教育でも足し算や引き算以上にバーチャルになったお金の扱い方を重要視しなければならなくなる。
貨幣に価値がなくなりバーチャルの数字だけが価値を持つようになるからだ。

貨幣がなくなるということはお金の概念も変化するだろう。
ひょっとしたら10年後は働いた報酬をお金ではなくどこかのポイントやペイにチャージされることで還元される時代が来ることも考えられる。

このような考えは飛躍しすぎているように思えるが、キャッシュレス化は加速して想像以上に早く進むという人も多いので遠い未来の話しでもなさそうだ。

お金の価値観が変われば老後も変わる

貨幣の価値がなくなり、お金がお金でなくなれば老後資金の不安なども意味を持たなくなる。
老後に年金以外で2,000万円必要という考えはあくまでお金の価値での話しだ。

極端に言えば日本円よりも楽天ポイントやGooglepleyカードのギフトコードなどの方が価値が高くなる可能性もなくはないと言うことだ。

そうなればお金お金と思うことがなくなり、案外気楽に人生を送ることができるようになると考えるのは持ってない者の妄想なのだろうか。