60歳から始めるピアノ

ピアノ教室へ通うだけが道ではない

ピアノが用意できたなら先ず触ってみることだ。
何も分からなくても毎日触ることに意味も出てくる。
ピアノの独学は決して簡単ではない。
だが、独学が持つメリットを最大限に生かすことで継続でき目標に近づくことが可能になってくる。

独学のメリットは月謝がいらないだけではない。
自分の思い描いた通りのトレーニングが可能で、もしそれが遠回りであろうが失敗であっても納得できることだ。
そして通学に掛かる時間も練習に当てることができ、トレーニング内容の自由度は習うより高い。
しかもピアノ教室を間違った時点で受ける大きなダメージも免れるのだ。

どの道、ピアノ教室へ通おうが上達に家でのトレーニングが欠かせないのは同じことだ。
昔と違って知識やモチベーションコントロールはネットの中に溢れている。

ピアノを始めるシニアのニーズはひとつではない

シニアになってからピアノを始める目的には特殊なものも多い。
それがある一曲に憧れてその一曲を弾きこなしたいだけのニーズだ。
例えば「ラ・カンパネラ」やベートーベンの「月光第3楽章」を弾きたいといった無謀とも思えるようなニーズだ。

しかし実際にはピアノを教える先生ですら弾きこなすのが難しいとされる「ラ・カンパネラ」などの難曲を独学で弾きこなしている音楽には縁もゆかりもなさそうなおじさんもいらっしゃるのだから一概に無謀とも言えず、情熱に勝るものはないようだ。

これらの一曲集中ピアノは返って独学向きだと言えるのは、そうそう容易くそのニーズを請け負うピアノ講師にめぐり合えないことにある。

自分でも弾けない「ラ・カンパネラ」を教える勇気のある指導者などいるはずもなく、門前払いが関の山だ。

ピアノ教室に通うのは、色んな曲をピアノで奏でることができるようにするということが本来の目的だ。
長年通ううちに一曲ではなく色んな曲をピアノで弾けるようになるのだ。
勿論楽譜が読めるようになったり、音楽理論も勉強することになる。

そこで教室に通うにせよ独学するにせよピアノを習得する目的をハッキリさせておく必要がある訳だ。
一曲を弾きこなせるようになりたいのか、ジャズを弾きたいのか、または基礎から学んで楽譜も読めるようにしたいなどの目的によって教室か独学か選択することになるだろう。

筋トレと同じようにハノンを弾くことが私のお薦め

昔から多かったピアノを習う順番は、先ずバイエルから始まってブルグミュラーという人が作った25の練習曲を使うことによって指使いや両手のコンビネーションなどを鍛えるものだった。
全訳バイエルの巻末には「エリーゼのために」を掲載し、ピアノ学習者の目標とされてきたのだ。

子どもの場合はその後ソナチネなどに移っていくが、大人でこの順序を辿ればブルグミュラーの最後までたどり着く生徒は非常に少ない。
なぜかと言えば「楽しくない」の一言に尽きる。

特に普段からベートーベンのムーンライトソナタやショパンの革命(練習曲作品10-12)などの難局を好んで聴いている人にはピアノに対する情熱をなくしてしまう要素になっているのだ。

そこで最初からハノン教材を使用する意味が生まれる。
ハノンとは音階を利用した指の強化対策に特化したような、正にトレーニング重視教本だ。
したがって曲としての音楽的要素はほとんど無く、地味でつまらないという意見もよく聞く。

しかしプロのピアニストでさえ毎日ピアノに向かう初めのストレッチ的要素としてハノンを取り入れている人が多いほどだ。

このプロが行うストレッチ要素こそがシニアのピアノトレーニングに火をつけると言っても過言ではない。
特にピアノ指導者は最初にハノンを使うことを好まない人が多いが、シニア(特に男性)はこの筋トレのような単純反復トレーニングを好む傾向にあることを分かってほしい。

しかもハノンをそのまま使うのではなくアレンジして使えば他の教則本は不要だと断言したいのは私の中途半端な音楽知識のせいだけなのだろうか。

シニアでピアノを始めるためのまとめ

・ピアノを始めるにはピアノは必要。
・最初は中古の電子ピアノで充分。
・ピアノタッチの電子ピアノを買う。
・ピアノを始める動機を確認する。
・ピアノの目標を設定する。
・ピアノを独学するか教室に通うか考える。

シニアからピアノを始めて「ものになる」ところまで継続するには、情熱を失わない工夫とトレーニングの内容が重要なのは、スポーツや語学の勉強などと同じことだ。

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