70歳継続雇用に違和感を覚える訳

70歳継続雇用って企業のメリットは?

60歳で定年を迎えた人は、1年契約の有期雇用という形態で働く再雇用制度が一般的になり、多くの人は会社に残り給与などの待遇は変わっても定年後の5年(65歳まで)を過ごしている。
日本政府は少しでも年金制度の安定化を図る目的もあり、70歳継続雇用の導入を検討しているが、近い将来60歳で定年を迎えてから10年間(70歳まで)有期雇用形態で働ける日が来そうだ。
日本では70歳継続雇用を歓迎する人が多いそうだからこのような書き方になるが、はたしてそれで不都合はないのだろうか。

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目次

1. 70歳継続雇用のメリットとデメリット

2. 年金制度の安定を図るなら先ず労働生産性を上げる方が有効

3. どっちにしても自分の能力分しか仕事はできない

1. 70歳継続雇用のメリットとデメリット

企業や国にとっては人手不足解消や年金制度の安定といった事柄をメリットとして分析する専門家もいるが実際はどうなのだろう。
元気な内はできる限り働きたいと思っている人にとってもこの制度はメリットと受け取られることだろう。
例えばタクシー会社などで運転手として働いている人や、ホテルの厨房で働いている人、病院の検査室に勤務している人などは、その経験に見合ってスキルも高くなり人材不足を補ってくれそうだ。

しかし既に技術職から離れて働いているような人で、部長職など高い役職に就いている管理職の人は企業にとってメリットを生み出すことができるのか疑問だ。
大きく変わろうとしている時代に、未来を予測した戦略や新しいビジネスを創造できる人で会社に残らず定年を切っ掛けに起業するような力のある人たちだ。

逆に会議に出て口だけで生きてきたエクセルも使えない人たちは会社にとってもお荷物になりかねない。
若い社員からも敬遠され、フレッシュな人材雇用の妨げになることも考えられる。
実際今でも地方の中小企業では新卒の新規雇用が困難で、社員の平均年齢は上がる一方だ。

そのような悪循環に陥ると、労働生産性は更に落ち企業が継続していくための体力も限界を向かえる危険性がある。


2. 年金制度の安定を図るなら先ず労働生産性を上げる方が有効

先進国の中でも日本は最も労働生産性の低い国として知られているが、一向に改善されていないのが現状だ。
この労働生産性だけ考えると70歳継続雇用制度は決してメリットになるとは考えにくい。
エクセルも使えない英語も話せない60歳以上の人材が企業の中にいて日本の労働生産性を上げる起爆剤になるとは誰も思っていないだろう。

しかしこの年代は日本の経済を牽引してきた自信と経験に裏打ちされた高いスキルを持っている人が多いのも事実だ。
そういった理由から継続雇用制度よりも60歳以上新規起業支援などに力を注ぐ方が高付加価値の製品やサービスが生まれる気がしてならない。

おそらく多くの日本人はリスクを嫌い、歳をとってからしんどい思いもしたくないと考え、楽な道を選択する人が多いため、サラリーマンで居続けようとするのだろう。

60歳過ぎて挑戦しようとする勇気を持てる人は限られているが、その中には能力の高い人が多く含まれ、今までの日本の経済を牽引してきたように日本の労働生産性を上げる起爆剤になる可能性を持っている人もいるだろう。


3. どっちにしても自分の能力分しか仕事はできない

なにも継続雇用制度に不満があって起業を促している訳ではないが、多くの優れた能力を持った人たちが古い体質の企業の中で埋もれたまま人生を終わらせることに違和感を感じるだけだ。

人生80年としても60歳からは最後の人生となるのは間違いない。
しかも60歳からの20年はあらゆるしがらみ(束縛)から解放される20年だ。
子育ての責任や親の介護などから徐々に解放されるということはお金儲けからも解放されると言ってもいいだろう。
定年というサラリーマンのしがらみから解放されるチャンスは、人生最後のチャンスとも言えるが、退職して年金暮らしをするのではなく、これからの20年をどう生きるか考えるために一度退職して考えてみては如何だろう。
今まで築いてきた経験や能力を、何のしがらみもないところで花開かせるチャンスでもあるからだ。

継続雇用を受け入れる理由が、会社で遣り残したことを最後まで全うしたいといった思いからならそれもいいだろうが、老後の資金不安や辞めても暇を持て余すといった理由なら最後のチャンスを逃すことにならないだろうか。

企業側から考えても唯の金儲けや暇つぶし程度の考えで継続雇用者を受け入れるのはデメリットにしかならないだろう。
企業も定年後10年間も継続雇用者を受け入れるなら、継続雇用者のパフォーマンスを最大限引き出す努力をしないと、労働生産性は更に悪化し経営難を誘発しかねない。

労働生産性が悪くなると、継続雇用者の労働条件も決して優遇されるようなことはなくなるということだ。
最終的には継続雇用で働いても、退職して新しく仕事を始めたとしても自分の持っている能力分しか仕事はできないということだ。

それならいっそ、しがらみのない世界で自由に最後の人生を生きて見るのも悪くはないだろう。

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コメント

  1. ひでちゃん より:

     確かに、おっしゃるとおりです。
    一度退職して、自分の能力に合った職場に行くか、自分で商売をするのがいいと思います。
    定年イコール年金暮らしでは、絶対ありません。
    人間として、死ぬまで働くのは義務です。

    • saiga yumezou より:

      ひでちゃん様
      貴重なご意見を頂き誠にありがとうございます。
      読んで頂いていることにも感謝します。
      私自身は今もなお迷いながら次のステップの足掛かりを探している状況が続いていますが、未来に希望を持って今日を忙しく過ごすことができれば由と考えています。
      人生も十人十色でしょうが、できることなら死ぬ間際まで色んな意味に於いて自分の足で歩けたらどんなに幸せかと思います。
      今後ともよろしくお願い申し上げます。